第5章 カ タ チ
「…マルコ、エースを呼ぶか…?」
適当に出店の商品を手に取りながら、耳打した。
マルコは街の住人にさりげなくDr.ヘイブンについて尋ねていたが、適当に話を切り上げて歩き出す。イゾウも合わせてマルコについて行く
「…何かの罠かもしれねぇよい。怪しい人物の目撃情報や噂の類は何も出てこなかったが、この先の丘に羊飼いが最近来たらしい。エースにはそっちを当たってもらうよい」
「わかった。にしても、調査組から得た情報とだいぶ違うな」
マルコの隊の何人かに、ずっとDr.ヘイブンを追わせていた。今回作戦決行を決めたのも、彼らが集めた情報のおかげだ
しかし、島に上陸してから噛み合わない点がいくつかある。
「まさか、奴の仕業か」
「Dr.ヘイブンは今まで1度も尻尾を見せたことがねぇ。それくらい慎重な奴が、親父のシマに手を出した。その時点で事は奴さんの思うように運ばれてるのかもしれねぇよい……」
一先ず町へ情報を集めに、別行動しているメンバーへ電伝虫を繋ぐ。エースたち2番隊は丘の羊飼いの元へ行かせ、マルコ、イゾウと数名のメンバーはチエをこのまま尾行することにした。そして万が一に備え、乗ってきた船の番と情報収集組に増員を出す。
「増員組は調査組だった奴らの動向も見張っとくよい」
「了解」
再びマルコたちはチエを追う。尾行に大人数は向かない。2人ずつ散開して挟み撃ちにする。
「広場に出る前に押さえるよい」
「おう」
1番近いマルコとイゾウが、チエに接触を図ろうと距離を詰める。他の道から追跡するよう指示していた部下たちは、まだこの辺りまで来ていないようだ
「…少し待つか」
「そうだ…っ、!」
同意しようとした刹那、突然チエが走り出した。
細い路地に入り、真っ直ぐ突き抜けた先は
「広場だ!!イゾウ乗れっ」
イゾウがマルコの肩に捕まった瞬間、マルコは不死鳥の姿になって急上昇する。細い路地を2人で走るより、空から一気に捕まえた方が早い
が、
「うっ、」
「イゾウ!!」
マルコの背に飛び乗ったイゾウは、どこからか銃弾を受ける。右腕と脇腹に1発ずつ、ほぼ同時だった。