第5章 カ タ チ
地図に記された場所はなかなか見つからなかった
(やっぱり、あれはダミーだったか…)
海岸を走っても走っても砂浜が続くだけで、遂には岩肌が丸見えになった崖と衝突した
真上は小高い丘になっていて、かすかに羊の鳴き声が聞こえる。きっと牧場だ
(こんな人の近くにアジトを構えることも無いか……)
なぜ部下に薬を飲ませていたのかも気になる。あれはどう見ても薬漬けにされていた。まともな人間がする事じゃない
一体Dr.ヘイブンは、どこまで情報を手に入れている?
もう既に、白ひげ海賊団が自分を狙っていることは確証済み。情報欲しさに、たまたま甲板に居た私を攫ったのだと思っていたけれど……
……色々と引っかかることが多すぎる
絡まる思考に、足を止めていた時
頭上から爆発音が轟いた
「!?」
何かと思って音の方向へ視線を移すと、爆発による熱と飛び散った破片が目の前に迫る。
そこで意識は途切れた。
──…爆発が起きる数分前。
「おい、マルコ。あれいいのか」
イゾウの目線が指したのは、屋根の上に登るエースの姿。案の定、策もなく街を走り回っていた
「全然作戦聞いてねぇよい…、わかっちゃいたけど、流石に呆れるよい」
「まぁまぁ、エースもただのバカじゃない。俺たちの二番隊を率いる男なんだ」
マルコは宥められながらも、呑気に走り回るエースを見上げた。エースの実力も、能力や度胸も全て承知の上で連れてきた。エースの持つ、危なっかしさも含めて。
危なっかしいと言えば、エースに勝るのが1人。
船に置いてきたはずのチエだ
置いてきたはずの彼女が、何故こんな街中にいるのか
見つけたのはマルコだけではなかった。
「あいつァ……チエ、だよな」
「でも確かに飲ませたぜ、眠り薬。まだ効いているはずだ」
マルコは自分の隊の者に連絡を取らせた。作戦通りに隊を分け、配置につかせるとイゾウと2人でチエの後をつける。
どうにもきな臭い
チエはどんどん人気のない所へ進んでいく。顔や体格、気配は全く同じなのに、どこか様子が変だ