第5章 カ タ チ
(六式をマスター出来たら、軍への復帰の目処が立つかもしれない……!!!)
微かな期待を胸に、闘志を再び燃やす。
月歩で揉める敵の背後へ着地、剃で高速移動しながら全員の脚の腱を切断。
敵から奪えるものは全て奪っておく。
…て、私が海賊みたいか
しかし通信手段などを持っていたら、敵を多く回され、肝心のDr.ヘイブンはその内に逃げ仰せるだろう。…まぁ、薬漬けの下っ端に連絡手段を持たせることなんてしないか
となれば、地図を持っているはず。薬に記憶力がやられないとも限らない。紙でなくとも何らかの形でわかるようにしてあるはずだ
『あった』
服の裏地に木炭で地図らしきものが描かれていた。多分間違いない。他の者に特にめぼしいものはなく、使えそうなのは、ピストルと短剣くらいだった。
普段にしては軽装備だが、体術でカバーするしかない。
そして、マルコ達よりも早く敵陣に辿り着かなければ。
彼らの作戦は知らないけれど、私を船から攫ったということは大して情報は漏れていないという事。敵が欲しがっているのは、情報だ。敵は陣地に固まらず、バラバラになっているかもしれない。
…一先ず行ってみるか。
どうかそこにお目当てのDr.ヘイブンがいますように
その頃、マルコ達は島に上陸した所だった
「作戦開始だよい」
「よっしゃあー!俺が一番乗りでブッ倒して来るぜェ!!」
「おい!コラ!まてエースッ!!!」
颯爽とキメたマルコを差し置き、エースは飛びたしていった。そもそもこの海賊に“作戦“なんて言葉が無意味な気がする
海賊っていうのは、根本的に自由奔放なのだから
「ま、アイツが抜ける事は最初からわかってたよい」
「そのための、俺ってわけか」
予想はしていたが、あまりにも予想通り過ぎてマルコも参る。そもそも作戦に連れてくるべきだったのか、己の判断を疑いそうになった。が、こちらには穴埋めには十分すぎるイゾウが居る。
「エースの尻拭いは、全部カタがついてからだよい」
「だな」
両者共に動き出した