第5章 カ タ チ
チエが何者かによってさらわれた時、
「イゾウが戻ってきた。作戦を始めるよい!」
マルコの掛け声で、1番隊と2番隊の乗組員は島に向かって漕ぎ出した。Dr.ヘイブンを捉えるための作戦が、今開始されたのだ。
「悪いな、イゾウ。作戦に加わってもらってよ」
総指揮をとるマルコは合流した16番隊の隊長の方を叩いた。今回1番隊と2番隊で行う作戦の中に、16番隊の隊長であるイゾウも加えることになった。イゾウの最初の任務はチエを連れてこさせないこと。
先程チエに渡した飲み物はただのトロピカルジュースではなく、眠り薬入りのジュースであった。このことはエースも承知していた。チエを危険な目に遭わせない、最善の策だとエース本人が納得していたのだ。
安全地帯に預けてきたと思っている彼らは、後々その判断が後悔に繋がるとは思ってなかっただろう。
そんなことはいとしれず、彼らは島へ船を進めるのであった。
『………む』
暗い、、
響く電子音と、冷たい鉄むき出しの床…
口枷と手枷、足にも海楼石の錠がかけられている。
目が慣れるまで静かに待った。
私が起きたことに気づかれてはいない。見張りもおそらく1人。気配からしてこの船にはざっと30人はいる…
ここは檻の中だ。私以外に人はいない。気づかなかったが、色んな薬品の匂いが混ざっている。医務室の匂いが強烈になった場所とい言えばいいのか、
ガゴン
ズリズリと鉄の床が何かに擦り付けられるような音がする。潜水艦独特の上陸の合図だ。