第5章 カ タ チ
残された私は、船縁にもたれ掛かりながら海を見ていた。
ぼんやりと貰ったジュースを傾けながら
頭の中を回るのは、この船に留まるか軍へ戻るかという二択だけ
3日後、この船は上陸して
……私は決断しなければならないんだよなぁ
いつかは訪れる別れ。最初はそれを望んでいたはずなのに、いざ現実となって現れると、自分はどうしたらいいのかわからない…
だって想像つかない
私がこの船に乗って、エースたちと一緒に旅をするなんて
ぼんやりとした頭では具体的な想像など浮かんでくるはずもない。
…もし、軍に戻って何も無くても、また1から始めるしかない。
多分私の答えはそれしかない。
このまま白ひげの船に乗るのは、甘えなんじゃないかとどこかで思う。どちらの選択にも確信は得られない。でも、先々のことなんて誰もわからないし、確信して進んでいる人の方がよっぽど少ないはずだ
なら私は、自分の決めた道に戻る。そうだ、私は海軍に
ブチッ
『いっ……!?』
心の中で決意を決めかけた時だった。
両腕に痛みが走って、視線を向けると海面から両腕に向かって管のようなものが刺さっていた。管の先には、海面にぽっかり空いた四角い穴。
あれは……海水が入るか入らないかくらいの高さに浮上した……潜水艦だ!!!
『わっ』
ぐい、と物凄い力で海から引っ張られる。
何とか足を踏ん張って堪えるが、力が強い……っ、、
ここからでは潜水艦の中は暗くてよく見えない
『!?』
あ、れ
力が…入らない!!
まずい、落ちる、、、!
ずるりと甲板から海に向かって引き抜かれる
重力に従って落ちていく浮遊感に思わず目を瞑った
そしてすぐに訪れる衝撃
『いっ…た…………』
あ、れ……?視界がぐるぐるする……
体は痛いけれど、それよりも……眠、い………………