第2章 名前
敵は目前へと迫っていた
『ぐっ!!』
「「隊長!!」」
体制が傾いたが、チエは手持ちの銃でギリギリ防いだようだった
「よく止めたなぁ!だーがーぁ」
第2撃がチエを襲う
「んな、細っこい腕で止められると思ったかぁ!」
チエの腹部にジャックの蹴りが入る
しかし、蹴り飛ばされたチエは両足でブレーキをかけて何とか、中距離を保った
『…ナメるな』
ボソリと呟かれた瞬間、そこにチエの姿はなく…
「なにっ!?」
瞬時にジャックの背後へと回っていた
脅威的なスピードと絶妙な殺気の殺し具合で奴の頭を蹴り飛ばす
「がっ、は……」
そのまま前のめりにジャックが倒れていく
その背中めがけてチエが飛び蹴りをする
「ひゅー…おっそろしい女だぜ…」
「冷や汗かいてるぞ。隊長にビビったのか?」
平然としたガシュトルとJ。チエがキレた時を知っているからこその冷静さだが、最初は二人も肝を冷やしたという
『走れ!今のうちだ!』
「えっ、捕まえねーの?」
走り出したチエに続いて3人も後を追うが、ナイルは未だ背後を見続けている
『奴の体は武器が仕込んである。それに毒もな。触るだけでもかなり危険なものだと思う。我々では捕まえるのは無理だ』
しかし彼は納得しなかったようで不満そうな顔を浮かべた
「それは俺たちの知る情報と違うぜ。チエ。やつに毒物を仕込めるような知識はないはずだ」
その問にチエは前を見据えたまま答えた
『恐らく密約を交わしているな。毒物の専門、と言えばわかるか?』
ナイルだけでなくガシュトルとJもハッとしたような顔をした
「まさか…Drヘイブン....」
「証拠は!?」
『最近Drヘイブンらは同じ海域をずっと回っている。そしてブラッディ海賊団は航路の外れたこの島へと来た…ここで奴らと取引する何らかを手に入れ、この先の海域へ進むとしたら…?』
「だったら尚更捕まえるべきじゃ…!」
再びナイルを制した
『Drヘイブンは今まで尻尾を見せたことがない…なのに最近になって同じ海域を回ったり街に出向いたりと目立つ行動をとっている。』
「罠かもしれないと…?」