第3章 告白(下)
「で、何をしにいらしたのですか? 殺害方法は即死系でお願いします」
「どこまで人間不信かなあ、君は! 手伝ってあげるって言ってんの、地下探検を!」
「は? 素人には危険ですよ、ここは」
「だ・か・ら! 何で無駄に上から目線!」
またグリグリされた。何て凶暴な人だ。
…………
「でもま、確かここは単なる地下室じゃないわね。攻撃的な防御術式の巣窟。凶悪トラップも多いね」
「わ!」
チェインさんが壁の中にするっと入っていったのでビビる。彼女は壁から顔半分だけ出し、
「解除は任せて。サポートするよ」
私は未だ警戒を隠せない。
「何で助けてくれるんですか!?」
「……君のこと、何度か見捨てたから」
「は?」
壁からするっと抜け出てきたチェインさんは、何ともいえない表情で私を見下ろしていた。
「……時々、君の教会のそばを通ることがあったのよ。
そのとき、たまに見たの。君が怪物や侵入者にヒドい目にあわされてるのを。でも私――」
唐突すぎて意味分からん。
「でも、そんなこと気にしないで下さい。見捨てて正解に決まってるじゃないですか」
「?」
「私を助けて、あなたが危ない目にあう方がイヤです」
「…………」
チェインさんはちょっと驚いた顔で私を見、フッと笑う。
「変な子」
私の頭をぽんぽんと叩く。ちょいムカ。
「じゃ、行こっか」
「いや行かなくていいですって。いきなり現れ何なんです。何かに苛まれてるんなら、胸を揉ませて下さい。それでチャラで」
「……本気顔ね」
「本当は同性じゃなくてクラウスさんの胸をもみたいんですよ!」
力いっぱい主張する。
「あの大胸筋を心ゆくまで揉みしだきたいのに! 言い出せなくって!」
「それは言い出さなくて正解だと思う……まあ手遅れになっちゃったけど」
「へ?」
チェインさんは私を見ていない。
私は彼女の視線の先を追い――固まった。
「そ、そうだったのか? カイナ。もっと早く言ってくれれば喜んで……あ、いや、今は皆がいるから、今度二人きりのときに……」
「旦那。胸を隠す仕草、最高に気色悪いから止めろよ」
「やっぱり地下が本拠だったか。もっと早く調べておくべきだった」
恥ずかしそうな(でも妙に嬉しそうな)クラウスさん。
そして真顔のザップさんとスティーブンさんがいた。