第6章 悪夢の後日談
そういうわけで、そろそろ終わりにしようかなーと思ってる。
かわいそうな少女は、クラウスさんという人に助けられ、世界一幸せになりましたとさ。
…………
そして翌日。
奇跡的に集った招待客に祝福され、私とクラウスさんは教会にいたのだった。
なお友人代表に指定され急きょスピーチを考えるハメになったスティーブンさんが、客席で死にかけてるが個人的にはざまぁと思っている。
「それでは誓いの口づけを――」
神父様に言われ、皆の前で白いタキシードに身を包んだクラウスさんが、私に顔を近づける。
私が目を閉じて、その瞬間を待っていると。
「――ん?」
どこか遠くで音がした気がした。
…………
…………
「分かってはいた。こんなオチになるということも……」
「カイナ! 指輪の交換を済ませたから、君と私の婚姻関係は成立したものと思いたまえ!」
タキシードにバトルナックルを装備し、戦いながら宣言するクラウスさん。
「はあ……」
また、うやむやにされるの警戒してんのかなあ。
私はウェディングドレス姿で、巨大アラスカヒグマを模したクラウスさん289号に乗り戦っている。
お約束ではあった。
結婚式クライマックスに、堕落王フェムトがあれやこれやをし、世界が危機に陥ったのであった。
「女心としては、最後まで済ませてほしいよね」
スーツに身を包んだチェインさんが言う。
「おまえららしくていいんじゃねえの?」
カグツチを振るいながら笑いながら言うザップさん。
こいつは結婚式に普段通りの姿で来やがって。
でも何だかんだで皆、楽しそうだ。
きっと私も同じ顔をしている。
「ほらほら式の続きをしたかったら頑張って戦え」
正装のスティーブンさんが手を叩いて急かす。
「はい!」
私は、クマさんの背から飛び出した。
そして私の手をつかみ、支えてくれるクラウスさん。
「愛してます!」
世界の危機に言うことじゃないことを言って、二人で笑ったのだった。
多分これからもドタバタが続くと思うし、何度も死にかけるだろう。
もしかすると本当に死んでしまうかもしれない。
でもどんな結末でも後悔はしない。
私はクラウスさんといる限り、世界一幸せなのだから!!
――HAPPY END!!