第3章 告白(下)
私はカイナ。どこにでもいる、平凡な女の子である。
私は大都会ヘルサレムズ・ロットに来て色々あって、教会跡地にテント張って暮らしてる。
え? 女の子がテントで一人暮らしなんて無理だろうって?
ご安心あれ。実際に無理で週三回死んでます。
でも最近、クラウスさんという紳士に会って、死亡率が週一回程度に下がった。
あとテントのある土地が移動して、クラウスさんの会社のすぐそばに来たらしいです。
よく分からん人は適当に脳内補完してくだされ。以上。
…………
スマホが鳴っている。
「うう……」
テントの中で、頭を抱えてうめく。
また鳴っている。
新着メッセージを知らせる通知音だ。
取りたくない。通知をオフにしたい。
でも返事を返さないと来るっ!!
彼が、ここに、直接やってくるのだ……!
「!!」
またスマホが震える。今度は着信だった。
これは直接来訪の最後通告とも言える。
これを取らねば……五分以内に来る。
だから渋々スマホを取った。
『クラウスだ。君からの連絡が無くてとても心配している。何か異常が?』
案の定の内容だった。
「いえ、テントの中で休んでいただけですので」
『それは何よりだ。ところで、今日も仕事が終わったら君の自宅に行きたいのだが、何か食べたいものはあるかね?』
「あ、はい。クラウスさんが昨日、クラウドにアップロードされた観葉植物がすごく美味しそ――」
『いつものレストランに注文を済ませておく。×時までにはそちらに行くから待っていてくれてたまえ』
「あ、はい。お待ちしております」
『では、何かあればすぐに私かギルベルトに連絡を』
「はあ……どーも……」
通話終了ボタンを押し、ガクーッと緊張から解放され脱力する。
記憶が正しければ、これと似た会話を一時間前にもした気がする。
私はクラウスさんという紳士に、非常に気にかけていただいている。
テントが彼の会社近くに来てからは特に顕著。
クラウスさんは毎日のように、私のテントを訪れる。
そして……休日は一日中入り浸る。