第3章 告白(下)
さて、長くなったので一回整理しよう。
私の名前はカイナ・シノミヤ。
日本出身だが、『この世界の』日本ではない。
『ヘルサレムズ・ロットのない並行世界』の日本出身。
魔導、PSI、異形、異界、血法などとは縁遠い世界から召喚された存在だ。
私を召喚したのは、強大な力を持つとても恐ろしい魔導『組織』だ。
私は彼らにより、神性存在と契約させられ『不死』の力を得た。
『不死』といっても『血界の眷属(ブラッドブリード)』とは違うので、そのへんはご注意。
ではどういう『不死』かというと、どう見ても死んでる状態から高速蘇生するらしい。
銃殺、撲殺、毒殺、窒息、焼死、圧死、凍死、轢死、溶解、放射線被爆、超高圧、超減圧……とにかくどんな死に方をしても生き返る。ひき肉になっても大丈夫☆
なので『組織』からは実験体として扱われ、データのため、あらゆる魔導や拷問や処刑法を試された。
まあ半分くらい覚えてないので、あまり実感はないんだけど。
私は『組織』の人たちに連れられヘルサレムズ・ロットに来た。
そして彼らがこの魔都の洗礼を受け全滅した後、跡地に一人で住み続けてる。
で、いきなり現れた紳士、クラウス・V・ラインヘルツさんに面倒を見られることになった。
ただクラウスさんの献身ぶりが本当に申し訳なく、自立して距離を置きたいと思ってる。
ともあれ『不死』の能力がある他はいたって平凡。
私はどこにでもいる、一般常識を持った、しごく普通の女の子なのである。
…………
…………
テントのそばで朝食を取っていると、クラウスさんが現れた。
「クラウスさん!! 来て下さったんですか!?」
私は有頂天で駆け寄った。
「ちょうど野菜スープを取っていたんです、クラウスさんも一緒にいかがですか!?」
「カイナ……ひとつ頼みがあるのだが」
クラウスさんはものすごく疲れた顔だった。
「どうしました!?」
「テント周辺で採取した雑草を、野菜と言い張るのは止めたまえ」
私はクラウスさんを手で制し、超ドヤ顔で言った。
「大丈夫です。私、死んでも生き返りますから!」
…………
その後、ギルベルトさんが朝食をたくさん作って持って来てくれた。
超美味しかった。