第2章 告白(上)
私の手はスマホの形状や操作を覚えている。
だから、私が元の世界でスマホを使ったことがあるのは間違いない。
けど……具体的な使い方が思い出せねえ!!
「ええと、こ、ここをスライドすればいいの?」
スマホを持ち、おろおろ。挙げ句に、
「え? あ! 間違って切っちゃった!!」
だが瞬時に着信音。私は半分涙目になりながら、どうにか電話を受けたることが出来た。
「も、もしもし! カイナ・シノミヤです!」
『私だ。スマートフォンの操作に関して分からないことがあれば、すぐに聞きたまえ』
「は、はい、ありがとうございます!!」
『それと私とギルベルト以外からの着信は取っても名乗ってもいけない。
あとで私に報告だけしてほしい』
「はい! 何から何までありがとうございます!!」
目の前に相手がいないのに、ぶんぶんとお辞儀をした。
『では、おやすみ』
「おおおやすみなさい!!」
また四苦八苦しながら電話を切ってホッとする。
と、そこにスマホから通知音が。
「わっ!! え!?」
またパニクった後、通知音と気づく。
メッセンジャーアプリが新しいメッセージを受信したらしい。
恐る恐る開くと、
『私と通話が出来ないときは、こちらから連絡を取ることも可能だ。
試しにこちらで会話の練習をしてみよう』
と、書かれていた。
「い、いや、私、書く方はまださっぱり……」
スマホをいじっても、英語入力に関する記憶はさっぱり浮上してこない。
『フリック入力に不慣れなら音声認識装置を使いたまえ』
「は、はあ……」
そんなこんなで、どうにか連絡を終え、アプリを終了させ一安心。
「!!」
また通知音がなった。またクラウスさんだ。
そんなこんなで、クラウスさんが会社に着くまでの半時間ばかり、地獄のスマホ教室が続いた。
「つ、疲れた……」
精神的にぐったり疲労し、寝袋の中にごそごそ潜り込む。
今日は珍しく眠れそうだ。
「まあ今だけですよね」
早くスマホを返す算段を考えながら、目を閉じた。
そして私は朝まで起きない眠りの世界に――。
深夜にも通知があり、何度も起こされた。
……どうしよう。クラウスさんを決して嫌いたくないのに、ちょっとうっとうしくなってきた。