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【血界戦線】紳士と紅茶を

第2章 告白(上)



 私の笑いも収まり、クラウスさんもホッとしたようだ。


「そろそろ休憩にしよう。今日はケーキを持参した」
「マジですか!? そうなるとギルベルトさんの紅茶が飲めないのが残念ですね」
 私が淹れるしかないのかな。でもインスタントならまだしも、本格的な紅茶なんて……。
 するとクラウスさんは立ち上がり、
「それは私が淹れさせていただこう」
 なぬ!?
「クラウスさん、紅茶が淹れられるのですか!?」
 貴族だから! 上流階級だから! そういうことは全部下々の民に任せているのかと!
 するとクラウスさん、ちょっと楽しそうに、
「もちろんだ。ギルベルトの代わりに、私が君の給仕を務めさせていただく」
「いいです! いいです!」
「遠慮せず。さあ席につきたまえ、レディ」
「給仕さんに命令された!」

 ギルベルトさんの急な用事は、彼の機転だったのかどうなのか。
 とりあえず、二人で楽しいティータイムとなったのだった。

 …………

 今日はなかなか帰らないなあ。

 失礼ながらそう思ってしまうほど、今日のクラウスさんはダラダラ……コホン、長居していた。

 もちろんギルベルトさんのお迎えを待っているのかもしれない。けど、そんなものスマホで呼び出せるし、金を積めば重武装の安全なタクシーだって乗れる。
 ……というかクラウスさん、生身でヘルサレムズ・ロットを歩いて帰れるお人だし。

 でも帰ろうとしない。

 ティータイム後は、二人でいつも通りに聖書を読み合って、クラウスさんのオススメの本談義になり、持って来てほしい本を言ったりして。
 その後は夕暮れ迫る中、それぞれ本を読んだり、何となくテント周辺を片付けたり(ついでに、ちゃんと食べるようご指導いただいたり)。
 でもさっきみたいに気まずいとかじゃなく、会話は楽しい。
 
 友人と過ごす休日って、こんなものなのかもしれない。

 今、クラウスさんはスマホでプロスフェアーのゲームをし、私は椅子に座り、足をぶらぶらさせながら聖書を読んでる。
 するとクラウスさんがスマホをしまい、いきなり言った。

「カイナ。何かしてほしいことはあるかね? いや、君がしたいことや、やりたいこと。行きたい場所、何でもいい。何か希望はあるだろうか?」

 唐突だなあ。

 しかも『死亡フラグが出てる相手に聞く質問』そのものである。
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