第6章 悪夢の後日談

　少し余裕が出たのか、先ほどはノータッチだった胸をまさぐり出している。
　お尻に擦りつけられるブツは、早くも勢いを取り戻している。先ほどまで収まっていた場所に、再度突入しそうであった。

「待って。クラウスさん、待って。ベッドはすぐそこですから。ね？」

　すると胸を愛撫していた獣は、

「そうだな。君を床に這いつくばらせる行為は、愛の営みにふさわしくはない」

　……『ふさわしくない』行為を強要された記憶は山とあるが、今は機嫌を取っておこう。

「そうですよ、クラウスさん。だから――」
「この枕を」

　いや、そういう意味じゃねえよ！！

　たまにこの男が見せるボケは、坊ちゃん育ちゆえの天然なのか、計算ずくの行為なのか、単にヤリたいだけなのか。

　……最後だな。間違いなく。

　腹いせに枕を抱きかかえ、すねて顔を埋める。

「カイナ……続けて構わないだろうか？」
「ん……」
　優しさを装った丹念な愛撫が全身をほてらせる。
　その後に、ケダモノが首筋を舐めた。

「お好きにどうぞ……」

　素っ気なく答えたつもりだが執拗な愛撫で、すっかり二回戦OKな態勢にさせられてしまった。
　腰が震え、もう少し焦らされたら、こちらから懇願してしまいそうだ。
　
「……っ！！」

　腰をつかまれ、ずぐっと押し込まれる。声を上げそうになるのを抑え、枕をつかんだ。

「あ……ぁ……っ……っ、！！」

　お尻を上げさせられ、後ろから激しく責め立てられる。枕をギュッとつかみ、息もつかないほどあえがされていると、

「カイナ……」

　耳元でまた囁かれ、ゾクッとする。

「機嫌は直っただろうか？」
「あぁ、……ぁ！……ん……いや……」

　涙目で首を振り、枕を噛んでいると、

「……？」

　枕を取り払われた。何か太いモノが目の前に――と思ったらクラウスさんの腕だ。

「はぁ……カイナ。つかまるのなら、私の腕に……」

　そう言ったかと思うと、抽挿を再開させる。

　いや枕に嫉妬って……とツッコミを入れたかったが、あっという間に流されてしまった。

「っ……や、ぁ、ん……そこ、もっと……ぁ、ダメ、そこ、ダメぇ……」

　後ろから猛々しく責め立てられながら、腕にすがる。
　枕より硬くて、抱き心地も悪い。
　でも何かに捕まっていないと流されそうで……熱い……。