• テキストサイズ

【血界戦線】紳士と紅茶を

第6章 悪夢の後日談



「カイナ……私の愛しき人……どうか逃げないでほしい」

 逃げないでってか、逃がさないって態勢だよね。マジで!
 ぎゅう~と背中から抱きしめられ、もはやライオンの牙にかかったウサギ状態である。

「こちらを」
 耳元でささやかれ、渋々振り向いた。

「ん……ン……! ぅ……!!」

 キスは予想していた。だが口内を貪り尽くす気かという執拗さだった。
 舌を延々と愛撫し、歯列をなぞり、吸い上げ……こ、呼吸をさせて下さいっ!!
 身体を押しのけようとしたがビクともしない。というか、いつの間にか背中が床についてる。

「……っ!!……ん!!」

 気がつくと仰向けにされ、床に押し倒されている。

 いやベッド、すぐそこでしょうが!! 運べや!!
 抗議の意味で敵を叩いた。だが逆効果だとすぐ知れた。
 違うー! 私が胸を叩いてるのは『もっと!』の意味じゃない!!
 頭いいのに、何でそういうことは学習しないの!!

 脳内は抗議で忙しいが、現実には床の上で好き放題にされている。

 キスはどうにか終わったが、ものすごいうるさい吐息とともに、首筋や鎖骨の辺りを舌が這う。
 ん……っ!

 チリッとした痛みが走る。だから、噛むのいい加減にしてって……。

「んっ……クラウス、さ……!」

 赤毛の頭を押さえ、デカい身体を抱きしめる。
 というか、出来ることがそれくらいしかない。
 赤毛の獣は私を抱きしめ、硬くなったアソコを痛いくらいに押しつけてくる。

 そしてふーっと息を吐き、私を抱きしめた。

 汗ばんでいる。獲物を前にして、涎を垂らさんばかりの獣。貪り尽くすことしか頭にない。

「カイナ……すま、ない……己を抑えること、が……」

 うん。まあ、いつものことですよねー。

/ 498ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp