第6章 悪夢の後日談
そしてクラウスさんも答えるのだ。
『それは十分把握しているが、昨晩のことはカイナの要請であり、私もやむを得ず――』
オフィスで遠回りのセクハラをされるっ!!(ついでに大嘘をこかれる!!)
挙げ句に戦闘の最中、銀髪の猿に『頑張れよ、チビ!! これが終わったら旦那のでっかいdi○kが待ってるぜー!!』と公衆の面前でセクハラをかまされる!!
私は身の回りのものをカバンにつめ、窓に急ぐ。
当分は身を隠そう。
愛してないわけじゃない。ただ限度を覚えて欲しいだけなのだ。
これは愛の試練なのだ!!
グッバイ、クラウスさん☆
私が爽快な気分で、自由の大地へ脱出しようとした瞬間。
背後でガチャッと扉が開く音がした。
え。何で……。
凍りついたまま振り向くと、この家を支配する主従が見えた。
ああ、ギルベルトさんかあ。
家主の私を差し置いて、この家の合鍵を全部持ってるもんねー。
ギルベルトさん! 申し訳無さそうに私に一礼すんな! 余計に腹立ちますから!!
そしてクラウスさんは、やはり空気を読まない。
「カイナ! いきなり鍵をかけ、どうしたのだ?」
何があったというか、これから起ころうとしているというか。
クラウスさんは、今にも家出しそうな格好の私に、心配そうに近づく。
その後ろでギルベルトさんが礼儀正しくドアを閉める音がした……。
大急ぎで窓を出ようとしたが、間に合わなかった。
下半身をしっかとつかまれ、ズルズルと室内に戻される。
「カイナ……私の愛しき人……どうか逃げないでほしい」
逃げないでってか、逃がさないって態勢だよね。マジで!
ぎゅう~と背中から抱きしめられ、もはやライオンの牙にかかったウサギ状態である。
「こちらを」
耳元でささやかれ、渋々振り向いた。
「ん……ン……! ぅ……!!」
キスは予想していた。だが口内を貪り尽くす気かという執拗さだった。
舌を延々と愛撫し、歯列をなぞり、吸い上げ……こ、呼吸をさせて下さいっ!!
身体を押しのけようとしたがビクともしない。というか、いつの間にか背中が床についてる。
「……っ!!……ん!!」
気がつくと仰向けにされ、床に押し倒されていた。