第6章 悪夢の後日談
クラウスさんの手はすでに下着にかかっている。
「待ってください……」
両足を閉じて弱々しく言ってみたが、
「愛している……」
それらしい言葉とともに、ずるっと下着を脱がされたのであった……。
荒い息づかいが聞こえる。
部屋は明かりが落とされ暗い。
ベッド脇の椅子には私の衣類、それと男性のネクタイと特大サイズのベストが乱雑に引っかけられている。
そして大きなベッドがギシギシと揺れていた。
「待って待って……そ、それ、止め……っ、んっ……!」
全力での抵抗を試みてるが、全く抵抗になってない。
「っ……ん、……!」
くそ! 上目遣いに私の顔をうかがうなっ!
クラウスさんに、私のアソコを舐められてるのだ。私がコレに弱いって知ってて……!
枕をつかみ、必死に冷静になろうとするけど、あえぎ声が出るばかり。
牙が太腿に当たり、チリッと痛む。大きな舌先で熟れた箇所を包まれ、吸い上げられる。
指先が雄を待つ場所に遠慮無く押し入り、蜜をかき出すようにズブっと食い込む。
「はぁ、……やだ、ダメ……っ……」
髪を振り乱して抵抗するけど効果ゼロ。
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……。
イキそう。でもこんな風に無理やりには嫌。
「クラウスさん……」
涙目で両手を伸ばすと、やっと婚約者が顔を上げた。
「カイナ……」
私の両手の間に飛び込むように、そのまま抱擁。
でも私をつぶさないよう、決して体重はかけない。
そのままキスをする。
「あの、クラウス、さ……ん……」
甘えるように見上げた。
私の顔を見て、碧の瞳がかすかに見開かれるのが見えた。
そしてクラウスさんは言った。
「……カイナ……どうか、私と結婚の約束をしてほしい」
「え? でも、婚約してるし……」
唐突に請われ、ついていけず、とろんとした目で小首をかしげた。
「君と式を挙げる確約を。もう、婚約を破られる不安で心をかき乱されたくはない。
カイナ。君の全てが……欲しい」
手を取り、真摯なまなざしで言われた。
い、いや、こんなときに?と思わないでもない。
でも相手の目は真剣そのものだった。