第6章 悪夢の後日談
前略。色々記憶喪失になり、クラウスさんに結婚迫られたり、安全日だとゴリ押しされたり、とにかく大変です。
あと今、襲われかけてます。
「待って待って待って! いやホント落ち着いてくださ……落ち着けーっ!!」
淑女の顔をかなぐり捨てて叫んだが、犯罪者は止まる気配もない。
「カイナ……! 私の愛おしい宝石……」
噛みつかんばかりのキスをされる。
「いやだから話を……んっ……!」
こっちは全力で身をよじった。
――もう、気を遣ってられるかっ!!
疑いは完全に確信に変わっていた。
間違いなく、このエセ紳士は私が記憶喪失なことにつけ込んで好き勝手やらかしてる。
流されたら終わりだ!!
「クラウスさん……! も、いいかげん、に……」
手で突っぱねようとする――が、すぐに思い知らされた。
「カイナ……どうか、君の慈悲を……」
ダメ。無理。あっさり組み伏せられキスの続きをされた。
分かってはいたが、生まれたてのヒヨコとセントバーナードくらいに体力差がある!!
「カイナ……」
散々にこちらの舌を貪り、こちらが酸欠になる寸前でケダモノが顔を離す。
ちなみにキスの合間にも胸や股間をさんざん触られたっ!!
かと思うとボタンの吹っ飛んだ服に手をかけられ、そのまま前をはだけられ、豊かでもない乳房があらわになる。
「だから、やだ、って……ん……」
反射的に両手で隠そうとしたけど、
「愛らしい……どうか私に身をゆだねて……」
手を押さえつけられた。出来るか!と言いたいが声が出ない。
「ぁ……っ、や……」
大きな手に胸を包まれ、先端を舌先で愛撫された。
ムズムズしてくすぐったい。
そして敵の膝が、ほぼ力尽くで私の足を割り込み、性急な調子で私の股間を探る。
スキルよりも欲望が優先された、乱暴で大雑把な愛撫。
すでにそれとわかるくらい、彼の股間が盛り上がってるのがわかる。
自分の顔が紅潮するのが分かった。
「だから……もう……っ……」
「頼む。どうか一度だけ慈悲を」
嘘つけ! それで一度で終わった試しがあったか?と思いつつ、だんだんと力が抜けていく。
何か、ほだされそう……。