第6章 悪夢の後日談
前略。クラウスさんがなにがしかの作戦を行うらしい。
で、成功したらご褒美が欲しい~みたいなことを言われ、快諾してしまいました。
……するんじゃなかった。
「ん……んん……っ……」
作戦? もちろん大成功したそうで。
私は療養指示が出てたため――そもそも現状では戦場で到底役に立たないため、家でダラダラしてました。
油断していた。
『夢』は欲求不満な自分が見た間違いだと思っていた。
クラウスさんは紳士な人だから、そんなことがあろうはずがないと思っていた。
「カイナ……っ……」
無骨な荒い息づかいが聞こえる。
誰かが私の髪を撫でている。
「!!」
突然、グイッと頭を動かされた。喉にあたるところだった。
「す、すまない。カイナ……君の舌使いがあまりにも蠱惑的で……」
いや噛みきられたいんですか、あんた。
こっちは咥えるのに精一杯で、蠱惑的も何もないですが。
だが言いたくとも話せる状況にない。
「カイナ……私をそんな目で見上げる君は本当に美しい…………」
……『そんな目』って、ドン引き六割、困惑三割、怒り一割の目のことでしょうか。
だいたい想像はついているだろうが、フ○ラさせられている。リビングのソファで。
それだけならまだしも、後ろ手に縛られてます。脱がした上着で。
ブラはしているものの、ホックは外されているから、胸元は涼しい。
クラウスさんのご指定です。
……かなりアレなプレイに思えるのですが。
クラウスさんが帰ってきて再会の抱擁をして、食事を取って――それからフ○ラを頼まれた。
まあ私も記憶が無いなりにクラウスさんに惹かれていた。
好きな人が喜ぶなら、まあ仕方ないかと了承した。
ただクラウスさんは――上記のシチュを指定した。
半端なくドン引きしたが、すごーく説得された。
やれいつもやってただの、記憶があるときの私は縛られるのが好きだっただの、いつもしていることをやれば、記憶を取り戻せるかもだの。
…………本当かよ。
『人の記憶喪失につけこんで嘘八百言ってないだろうな?』と正直思ったが、押しに負けた。
私は記憶喪失であり、背丈の大きな人が怖いのだ。
「カイナ……君を、愛して……」
私の頭をかき抱きながら、胸を弄らんで下さい。