第6章 悪夢の後日談
「…………」
クラウスさんはまだ寝ぼけているんだろうか。
大きな手が、感触を楽しむように腹をゆっくりと撫でる。おへその辺り止めて。くすぐったい。
私はひたすら寝たフリをして、クラウスさんが起きて正気に戻るか、ちゃんと寝るかしてほしいと願った。
手が這い上がり、また胸に触れる。
「……っ」
落ち着け落ち着け落ち着け。クラウスさんは寝ぼけてるだけ。すぐに本当に寝てしまうから。
そう思おうとしたけど、手はブラの上から胸を愛撫する。
優しくつつんだかと思うと、そっとつかみ、先端を指でつまむ。
ん……ん……っ。
羞恥と気まずさで、完全に身体が凍りつく。
そうしているうちに指がブラの中に滑り込み、肌を直に愛撫し出す。
恥ずかしい。怖い。どうすればいいか分からない。
「!!」
後ろから別の手が潜り込み背中をつっとたどったかと思うと、ブラのホックを外す。
圧迫感が無くなったけど、代わりにその手も前に回って胸をつかんだ。
「カイナ……っ……」
今、ハッキリ声を出したよね。
……クラウスさん、起きてる……?
身体がパニックに襲われる。
「起きているのかね……私の可愛いカイナ」
耳元でささやかれ、首筋を舌が這う。
声を出さず、息を殺した。叫ぶか飛び起きて良かったのに、自分がしたのは沈黙を守ることだけだった。
後ろから両の胸を愛撫しながら、婚約者がささやく。
「嫌なら言いなさい。君に無理を強いることと、痛い思いをさせることだけは決してしない」
……逆に言えば、こちらが嫌だと言わない限りは好きにされると?
チリッと首筋に違和感。あの特徴的な牙で噛まれたのだと気づく。
「……っ」
長い足が私の足に絡みつく。膝で股間を刺激される。
「カイナ……」
息づかいが少し荒くなる。手つきが大胆になる。
「もっと君に触れたい……いいだろうか?」
私は馬鹿みたいにじっとしていた。
そうして息を殺していれば、嵐が勝手に去ってくれると信じているかのように。
そうやって硬直している間に、片手が移動する。
そしてパジャマのズボンに手をかけられたかと思うと、下着も一緒に、膝まで一気に下ろされた。