第6章 悪夢の後日談
クラウスさんに守られ安らかなる眠りにつく。
子猫は幸せいっぱいであった。
…………
…………
そして私もどうにか人間に戻れた。
「身体が、重い……世界の位置が違う……」
私の家のソファで、私はうめいた。
「そうかね。私が戻ったときは、羽が生えたように己の身体を軽く感じたものだ」
私の肩に手を回し、悠々と紅茶を飲むクラウスさん。
「そら、クラウスさんは1tから130kg、1/8の減量なんだから当たり前でしょうが」
こっちは1kgから××倍の増量だ。単位が違うっての。
しかし座ってるのもキツイな。
「今日が休みで良かったです。横になって休んでますね。では」
立ち上がり、寝室に行こうとした。
すると、ティーカップを置く音がする。
背後で巨体がソファから立ち上がる気配。
「…………」
瞬間に、私はダッシュで寝室に走る。
くそ!! 身体が超重いっ!! 重力が超かかってるっ!!
すぐにへたばり、壁にもたれ息を整えていると、
「大丈夫かね、カイナ。部屋に連れて行こう」
「うわっ!!」
ひょいっと、いとも軽々とお姫様抱っこされたっ!!
「離せ、人さらいっ!!」
くそ! 上手いこと力を入れて腕の動きまで封じやがって!!
「カイナ。淑女の君がそんなことを言う物では無い。
寝室までエスコートさせていただくだけだ」
「今日は寝るって言ってんでしょうがっ!!」
一生懸命暴れたが、ただでさえ弱っている上、屈強なる婚約者には通じない。
たちまち寝室につき、ふわっとベッドに横たえられた。
逃げようにも両脇に手をつかれていて、逃げる隙が無い。
「今日は二人とも人間だが、獣のごとく君を求めたい」
やっべえ。私を寝かす気ゼロだわ、このエセ紳士。
私の体力……持つかなあ。
「お互い元に戻ることが出来て、本当に良かった。愛している、カイナ」
でもキスをされれば、何となくどうでもよくなってくる。
優しく愛撫され、下着を脱がされながら、やっぱり人間のクラウスさんが一番いいなと思ったのであった。
……ちなみに食事風呂休憩挟んで、日付が変わるまでつきあわされ、翌日有給取るハメになったのはまた別の話である……。
――END♡