第6章 悪夢の後日談
事務所でクラウスさんは上機嫌である。
「カイナ。こちらに来たまえ」
知らんわ。
私は一心不乱に、ツェッドさんの猫じゃらしにじゃれついている。
「カイナ。そろそろ食事にしないかね?」
パキッ!
猫缶を開ける音に子猫はフリーズ。
「あ……」
ツェッドさんを放置し、一目散にクラウスさんのところに駆け寄る私。
「旦那、それずりーよ」
ソファでモン○ンしながら、呆れたように言うザップさん。
私はにゃーにゃー鳴きながら、クラウスさんの周りにまとわりつく。
「美味しいかね? カイナ」
猫缶を貪る私を、慈愛の目で見てるクラウスさん。
そっと頭を撫でてきた。
ニャーっ!! 食ってる最中の猫に触るなっ!!
殺気全開でクラウスさんの指に噛みついたが、敵がこたえた気配はない。
よしよし、と余計に撫でてくる。
「クラウス……猫の相手より、仕事に戻ってくれないか?」
珈琲を飲みながらスティーブンさん。
クラウスさんが元に戻っても、やはり大変そうなのであった。
…………
…………
そして今日の世界の危機も回避し、無事に家に帰ってきた。
私は今、クラウスさんの膝の上でゴロゴロ言いまくっている。
本を読みながら、幸せそうに私の頭を撫でるクラウスさん。
でも夜が更け本を閉じ、
「カイナ。そろそろ寝ようか」
はーい。
子猫はクラウスさんの膝の上から下り、まっすぐベッドに向かう。
ふかふかベッドの上に飛び乗ると、ご機嫌で転がりまくった。
クラウスさんは眼鏡を外し、私をつぶさないよう、そっと横になる。
子猫はクラウスさんの腕を嗅ぎ、小さな前足で腕をおしおし。
クラウスさんはフッと笑い、人差し指で私の頭を押す。
何だ。やるか? 負けないぞ! 仰向けになって指にじゃれつく私。
クラウスさんは、目を細めながらしばらく私の遊び相手をしてくれた。
でもそのうち子猫は大あくび。クラウスさんの脇のあたりに位置を定め、丸くなった。
クラウスさんはもう一度私を撫で、部屋の明かりを落とす。
「ずっとこのままいてほしい気持ちもあるが、やはり早く戻ってほしい。
元の君と、もっとたくさんのことを語り合いたいよ」
にゃー。