第6章 悪夢の後日談
子猫用ミルクを飲み、皿を舐める作業も終え、私は大あくびである。
だがクラウスさんはまだ食っていた。
私はエコサイズになったが、クラウスさんは逆に増量。
ごはんがいっぱい食べれていいなー。
わたくし、少々不満である。
にゃー。クラウスさん、ちょっと下さい!!
子猫はクマのバケモノに必死に訴える。
するとクマさんは食べるのを止め――のっそり横に動き、私に少し場所を空けた。
「坊ちゃま」
ギルベルトさんがちょっと咎めるように言うけど、私は大喜び。
わーい。
クラウスさんのお顔の隣で、一緒に食べ始める。
…………。
でもクラウスさんデカいから、もう少しどいて。
子猫が鼻で押すと、さらにクマさんはどいてくれる。
もうちょい。さらにさらにどいてくれた。
なので私は押して押して……。
「クラウス坊ちゃま……」
私は皿を独り占めにし、存分にブレックファーストを楽しんだ。
クラウスさんは怒ったご様子もなく、皿の脇で前足に頭を乗せ、私が食べ終わるのを待つのであった。
…………。
お腹いたい。レバー食べすぎた。
部屋の隅で丸くなる私の背をつつくクラウスさん。
キシャー!と威嚇しておいたのは言うまでも無い。
…………
人がクマになろうが子猫になろうが、世界の脅威はお構いなしに訪れる。
その日もヘルサレムズ・ロットの一角で、超存在的異界生物が一万年の封印から目覚めてしまった。
世界の危機である!!
連絡を受け、ライブラの精鋭メンバーはすぐさま出動した。
だが。
…………
「え、えーと……ぶ、ブレングリード流血闘術……11式、ビ……ヴィルベルス、シュとゥルム【旋回式連突】っ!」
顔を赤くしたレオナルドさんがメモ片手に、つっかえつっかえ技名を言う。
タイミングがズレまくりだが、それでもクラウスさんは咆吼。
そして跳躍した荒ぶる獣から、十字の攻撃が敵を滅多打ちにする。
異界生物はそれでもなお抵抗するが、クラウスさんの敵ではない。
アラスカヒグマのパンチの一撃で、敵は粉々に砕かれた。
かくて殲滅完了。
ヘルサレムズ・ロットを呑み込まんとした超存在は粉々になり、消え去った。
だがだが。