第6章 悪夢の後日談
アラスカヒグマがこっちに来る!
フーっ!!
私はすかさず毛を逆立て、部屋の隅まで走って逃げる。
けどクラウスさんはゆったりした歩みで、私に近づいてくる。
私は引き続き、超警戒モードで、クマに威嚇した。
「あら、意外。カイナっち、動物になると仲が悪いのね」
まあ人間だったときは、クマになったクラウスさんに大喜びだったけど。
だが子猫では勝手が違う。子猫にとって今のクラウスさんは生体凶器に等しい!!
「あ! 尻尾をぶわっとさせて、怒ってますね」
和やかに言うな、ツェッドさん!!
あとザップは急に動画を撮り出すな! 絶対ネットに上げて広告代稼ぐつもりだろうっ!!
威嚇してもなおクラウスさんが近づいてくるので、私はレオナルドさんのところに走り、一生懸命上がった。
「うわっ!!」と驚くレオナルドさん。
「おい陰毛!! とっととチビを下ろせ! てめえの動画なんて誰も求めてねえよ!」
「誰も撮ってくれって頼んでねえよ!! あんたこそライブラの内部映像を全世界に配信する気かよっ!!」
ぎゃあぎゃあ二人が言い争ってる間に、私はレオナルドさんの頭に上り、高い場所からフーッと、クマを威嚇する。
だがクラウスさんは歩みを止めない。
「あ、あの、クラウスさん……カイナさん、怖がってますし……」
レオナルドさん、私を頭に乗せたまま怯えた声になる。
まあ中身が上司だろうと、体重1tのアラスカヒグマが近づくのは怖いわな。
レオナルドさん。じりじりと後じさり、ついに壁の本棚のとこまで追い詰められた。
「いや、あの、ちょっと……」
クラウスさんは四つ足なのに、体高だけでレオナルドさんの身長近い。
しかも元の特徴を反映し、口から突き出る牙がデカいこと。
もはや魔獣である。
レオナルドさんのくせっ毛頭が超震えてる。
私はシャーッと、威嚇しっぱなし。
「ひっ!!」
レオナルドさんが心臓止まったみたいな悲鳴を上げる。
クラウスさんがそっと立ち上がったからだ。
……3メートル超えてます。
私はミギャーっと、最大限の威嚇をするが、巨人のごとくクマがせまるっ!!
パクッ!
『っ!!』
室内の全員が息を呑んだ。
頭 か ら 食 わ れ た 。