第6章 悪夢の後日談
……これでいいんだろうか。生殺しの状態のまま、恋人の自慰を見続けるのが、本当に私の望んだことだったのだろうか。
「……っ……っ、……カイナ?」
ついに私はイク寸前のクラウスさんの手を押さえた。
「襲って下さい。でないと、私もあなたの前でヤリますけど?」
無表情に、ネグリジェのすそをまくる。ちょっと……濡れてる。
「……!」
イク寸前で限りなく本能が昂ぶっている雄が目を見開く。
だがかろうじて押さえつけたのか、
「だが……しかし、君との約束が……」
「いえ今ヤリたいし、正直どうでもよくなってきたから」
ネグリジェを豪快に脱ぎ捨て、自分から足を開く。
結論。面倒くさいっ!!
「これからは、本当に嫌なときは、符術とか出刃包丁とか持ち出すことにします。
だからクラウスさん……愛してます! 来て下さいっ!!」
「カイナ……っ!!」
そしてまあ、ガバッと襲いかかられ。
あとは獣のごとく――夜明けまで激しい狂宴が続いたのであった。
…………
…………
翌日のライブラ。
珈琲を飲みながら、スティーブンさんは上機嫌。
「何だ、もう仲直りしたのか? 良かったな。二人とも、だが仕事に持ち込むのは大概にしてくれよ?」
「すまない、スティーブン。君の思いやりに本当に感謝する」
クラウスさんは頭に手をやり、親友に礼を述べている。
いやその男、世界のため犠牲になれって笑顔で脅してきたからね!?
だが私はツッコミを入れる気力も無い。
ソファの前で、ギルベルトさんは心配そう。
「カイナ様、何かお飲み物をお持ちしましょうか?」
「き、キャラメル・マキアート……シロップ大目で……」
「かしこまりました。少々お待ちを」
足早にと立ち去っていくギルベルトさん。
「ザップさん……クラウスさんをどうにかする方法って無いんですかね?」
私はソファに寝ながら、床に向かって話しかける。
クラウスさんに攻撃し見事にズタボロにされ、床に昏倒するクズに。
ザップさんは床でうめきながら、
「ありゃ治んねーよ。おまえがきっちり一線引いて、それを死守しねえと、一気にバリケードを崩されるぞ。
いいか。絶対譲るな。甘い顔見せたら終わりだ」
……すみません。すでに許しちゃってます。