第6章 悪夢の後日談
だが。
「いや。私のために耐える必要はない」
「え? いえ、別にそんなことは……」
しかしクラウスさんはかたくなに、
「今日は、二人で手をつなぎ眠りたい」
「いやだから、今はホントにイヤじゃないですって」
「違う。これも己の獣欲を押さえるための第一段階だ。
今日は自分で始末することにする」
そう言って、ベルトを外しだした。
え? ええええええ!?
「いえ本当に大丈夫ですから! 何ならちょっと見てみて……」
こそっと裾をまくろうとするが、
「カイナ。無理をして私に合わせなくていいのだ。君が嫌がることは決してしない。愛する人」
クラウスさんは優しく私にキスをし、ファスナーを下ろすとご自分のモノを出した。
……昨日の荒々しい行為を思い出し、私のアソコがじわっとうずく。
う、うーん。無理強いはしないって約束してもらったけど、ああいう風に激しく求められるのも、ちょっと悪くなかったかも。
クラウスさんがどうしてもって言うのなら、まあたまにはいいかなあ……。
「あ、あの、クラウスさん……」
「カイナ。どうかそこに」
そういって、敵はご自分のモノを扱き始める。つい釘付けになってしまいそうになり、
「あ、あの……私、部屋を出ますね」
恐る恐る立ち上がろうとするが、手をつかまれた。
「カイナ。愛しき人。交われぬのなら、どうか私のそばにいてほしい。頼む」
切実な目で言われ、仕方なく座り直すが。
「…………」
何か、変なことになってね?
私はOKな気分なのに、何で恋人の自慰を見なきゃいけない状況になってんの?
「…っ……ぐ…っ……カイナ……っ……」
もしかしてクラウスさん。
結局、自分が我慢する気は一片たりともなく、私に自慰を無理やり見せるという、別の変態プレイに切り替えることにしただけでは……。
いやでもでも、私側は約束を守ってもらってるから異議を唱える状態にはなく。
自慰でもしとけと遠回しに言ったのは確かに私だし。
「カイナ……っ……」
クラウスさんの声に熱がこもる。
私はもはや、虚無のまなざしであった。