第6章 悪夢の後日談
某日深夜。私は何とか説明しようとしてたが。
「特殊嗜好とかそういうのでなく、もっとこう……。
クラウスさんは私が何をしたら一番嬉しいですか?」
「君が幸せでいることだ」
……即落ち。私の好感度カンストしますた。
「すみません、大好きです!!」
「私も愛している、カイナ!!」
互いにギューッとハグし、熱いキスをして――バッとクラウスさんから距離を取った。
「カイナ?」
私をハグした格好のまま、首をかしげる婚約者。
「それはそれとして! もっと狭い意味で私が何をしたら、クラウスさんの疲れを癒やしてさしあげられるでしょうか?――その引き出しは開けるなっ!!」
そーっと『婚姻届け』と『縄』の入ってた引き出しを、開けようとするケダモノを止めた。
「私は必ず君を幸せにしてみせる」
「あ、『婚姻届け』を出そうとしてたんですか? ああ、良かっ――いやだから、そういうのじゃなくて!!」
私はあたふたと、どう表現したものかと迷う。
だがクラウスさんの方が頭が良かった。
「つまり君は私に君が正常と考える範囲内で私が最大限満足出来る性的サービスを提供したいと考えているということだろうか?」
「ものすごく分かりにくい文言になってる上、風俗っぽいけど、そうなりますっ!!」
顔を真っ赤にしてどうにか肯定する。
でも、ようやくくみ取ってもらえてホッとした。
するとクラウスさん、しばし腕組みをされ、
「カイナ。君の希望が聞きたい。君は私にどのような性的なサービスを提供したいと考えるのだろうか?」
「いえ、だから、そういう風俗みたいな物言いは――は? 何で私の意見を聞くんです?」
「むろん、君の幸せが私の幸せであるからだ。私の満足は、君の笑顔無しには成り立たない」
そういうことをサラッと言う!!
「今の私は、クラウスさんが満足して下さることが幸せです」
「私に遠慮せず言ってくれたまえ。君は私をどうしたい?」
「いや、そう言われても……」
「何でもいい。君のどんな要求も私は喜んで受け入れる」
あれ? 立場、逆転してね? 何でこんなことに?
いやそれよりも――。
「言ってくれたまえ、カイナ」
クラウスさん、楽しそうだなあ。
……まさかこの男。私に恥ずかしいセリフを言わせたいだけでは……。