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【血界戦線】紳士と紅茶を

第6章 悪夢の後日談



 そしてアラスカヒグマはパンチの一撃で次々と触手を吹っ飛ばし、市民を救いつつライブラの方へ向かう。

「てか、酔う……吐く……っ」

 背中の私は、たまったもんじゃない。
 だが婚約者がスピードを緩める気配はない。
 いっそこの畜生の背中に戻してやろうかと、淑女にあるまじき考えまで浮かんだ。

「お?」

 そのとき、目の前に巨大な氷の柱が発生した。
 それらは獲物に襲いかかろうとした触手をあっというまに凍結、崩壊させてしまう。
 何て頼もしい!
 
 近づくと、白い息を吐きながら宙を見上げる伊達男。
 チラッとこちらを見たスティーブンさんは、

「クラウスか。もうすぐ制圧出来る。君の手を借りるまでも――」

 違うんです、スティーブンさん。クラウスさんは加勢に来たんじゃ無い!

 お祭りに参加しに来たんです!!

「クラウスさん!」

 私たちの行く手を遮るように、前方から触手が出現する。

 そしてクラウスさんの拳がうなる。

 アラスカヒグマの会心の一撃!
 触手は軽々と引きちぎれ、あっという間に絶命する。
 強敵と見てか、触手がさらに数を増すが、クラウスさんの敵では無い。
 拳の一閃二閃で、襲い来る触手が右から左に吹っ飛ばされていく。
 もはや勝負するまでもない、一方的な大虐殺だ。
 ポケットに手ぇ突っ込み、それを見ていた副官さんは、

「手を借りるまでもない――と思ったけど、後は任せた。
 じゃあ僕は事後処理にかかるから、頑張って」

「え!? 終わってないのに、事後処理!? ちょっと、番頭さんっ!!」

 暴走するクラウスさんの背中から叫ぶが、副官はとっとと戦線から離脱し、事務所に向かっていった。

「ちょっとーっ!」

 だが戦況は変わっていた。
 クラウスさんのあまりの強さに、触手は完全に逃げモードです。
 しかしヒグマの脚力は半端ないのです。
 逃げてる触手にも軽々追いつき、嬉々として惨殺していく。

「あーあ、野生のヒグマにゃ絶対背を向けちゃいけねえのにな。
 あいつら逃げる獲物は絶対追いかけて殺すから」

 血法を解除し、葉巻ふかしてるザップさん。

 いや野生のヒグマじゃないし! 限りなく野生に近い状態にあるが!

「クラウスさん! 前方十メートルのでっかいやつが本体です!!」

 レオナルドさんが、義眼の力で親玉の位置を教えてくれた。

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