第6章 悪夢の後日談
しかし小さい身体は小さい身体で、お腹がすく。
お。テーブルの上にドーナツがあるじゃあないか。
「ん?」
私はソファの肘を滑り降り、レオナルドさんのところにちょこちょこ走り、
「わ! くすぐったい!」
レオナルドさんの足によじ登り、すたすたと腿の上を走り……膝の先へ。
よし。レオナルドさんの膝と、テーブルの隙間はわずかだ。私はジャンプしようとして――。
「ちょ! ちょっとカイナさん! 落ちたらシャレにならないって!!」
レオナルドさんに身体をすくわれ、手の平に載せてテーブルに置かれた。
「落ちない落ちない。ちゃんと到達してみせます」
親指立てるが、
「万が一のことがあったらどうするんだよ! 二階から地面に落っこちるようなもんですよ!?」
ツッコミが来たけど、私は無視してドーナツにかぶりついた。うまーっ!!
「……あー、もう顔面に砂糖ついちゃってる」
呆れられてしまった。
グレーズたっぷりのドーナツにかぶりついたため、顔にもろについてしまった。
ん? 今、スマホのシャッター音がしたような……。
「カイナ様、こちらを」
うわ。ギルベルトさんがお顔を丁寧に拭いてくれた。
「ど、どもです」
「今のカイナ様にはドーナツは大きすぎます。私がお切りいたしましょう」
ギルベルトさんがドーナツを丁寧に切り分けてくれた。
「どうぞ」
目の前に小皿が出され、小鳥の餌のごとく細かく切り分けられた、ドーナツがあった。
「ありがとうございます!! ギルベルトさんん!!」
お礼を言いつつも、私はあることに気づいた。
「ギルベルトさん、全部食べたいです」
不満を垂れる。ギルベルトさんが用意してくれたドーナツは、元のドーナツの五分の一もない。
「申し訳ございません。今のカイナ様のお身体ですと、いささか量が多いと思われましたので。お許しを」
懇切丁寧に謝られると、反論は出来ない。
手の平サイズになっても、快適な生活が出来ているのはギルベルトさんの尽力によるところが大きい。
仕方なくフォークでちまちま食べてると、背後でスマホのシャッター音がする。
「……レオナルドさん。さっきから何、勝手に撮ってるんですか」
「あ、いや、クラウスさんに頼ま――いえいえ、何でもないです!!」
おい。