第6章 悪夢の後日談
■Sideライブラ
×日後……。
ライブラのオフィスに精鋭メンバーが集っていた。
彼らの前に何日かぶりに姿を見せたリーダーは、壮健な笑みを見せた。
「皆、心配をかけた! だがこの通り、毒素は完全に抜け、ようやく現場に復帰することが出来た!
私の不在による活動の支障を深く詫びたい!
だが同時に! 私のいない間も諸君が世界の均衡のため勇往邁進してくれたこと! そのことに多大なる敬意を表すと共に感謝を申し述べたい!」
朗々とした演説は続く。それを聞き流しながら、
「……すっごくキラキラしてますね、クラウスさん」
レオナルドがボソッと呟く。
「元から多忙な方でしたし、まとまった休みを取れたのは良かったんでしょうが……」
とツェッドが応じる。
なおスティーブンはクラウスの横にいる。
クラウスの不在時、ボス代理を務めさせられた副官は、無精ひげを剃るヒマすらなく、目の下にどす黒いクマをたたえ死にそうな顔をしていた。
「そら爽快だったろうよ。あの毒素のセックスって、限界までオナ禁した後、一気にぶっ放すくらい快感らしいぜ?
それを使ったセックスドラッグがあるくらいで――」
ザップは楽しそうだ。
その横でチェインが、ザップの下品な物言いに舌打ちしたが、
「ミスタークラウス。それでカイナは? 彼女の毒素は抜けたのでしょうか? 姿が見えませんが」
「……っ」
クラウスは一瞬沈黙するが、
「も、もちろん、彼女は問題無く回復した! 明日から以前と同じく元気な姿を見せてくれるだろう! だが大事を取って本日は休んでもらっている。心配しないでくれたまえ!」
『ヤリつぶしたんだ』
『ヤリつぶしたな』
『ヤリつぶしたのね』
各人が心の中で呟き、この場に姿を見せぬ少女に、深く同情したのであった。
■Sideカイナ
私は布団を頭からすっぽりひっかぶって、ブルブルしていた。
「カイナ様……坊ちゃまより先ほどから何度もお電話が。
それにそろそろ、お食事をお取りになった方がよろしいかと……それとお召し物も」
ギルベルトさんが心配そうに声をかけてくるが、私は反応せずガタガタ震えていた。