第2章 告白(上)
そしてスティーブンさん、クラウスさん、私と三人でティータイムとなった。
「けど、何だって自爆テロとか物騒なことを言い出したんだい?」
サンドイッチをつまみながら、スティーブンさん。
「いやあ。この能力を使ってお役に立つ、というと自爆くらいしかないかなと思って」
「いや『くらいしか』じゃないだろ。サラリと出てくるのは怖いよ!」
スティーブンさんが的確に突っ込んで下さった。
この前の夜はほとんど話す機会がなかったけど、今は機転の利く頭の良い方だと分かる。顔の傷すら魅力的に感じさせる伊達男。
クラウスさんと並ばれると威圧感がパねえっすが。
「そんな無理をしなくても君は今のままで、充分私の役に立ってくれているよ」
クラウスさんが優しく笑う。
「え!? 私がどんなお役に!?」
平静でいられず立ち上がってクラウスさんに詰め寄る。
いったいこの無能者に何が出来ていると? 後学のために是非とも教えていただきたい!
「いや…そ、それは……その……」
なぜかクラウスさんは顔を赤くして、珍しく目をそらした。意味が分からん!
「いいから、教えて下さいよ!」
「だから、その……カイナ……」
「青いな」
スティーブンさんがフッと笑ったので何か腹が立った。
しかしこの人、いったい何しに来たんだろう。
…………
「あ、君。実は以前から聞きたいと思っていたことがあるんだけど、いいかな」
二杯目の紅茶を飲み終わったとき、ごく自然にスティーブンさんが聞いてきた。
「もちろん、いいですよ」
私は笑顔で紅茶(角砂糖三個入り)を飲む。
そして彼は言った。ごく自然に。
「君のその『不死』の能力はどこで手に入れたんだい? それとも誰かに与えられたものなのかな?」
「ああ、それはですね」
笑顔でケーキにフォークを刺した。
別に隠すことではない。情報漏洩的に問題ではあるかもしれないけど、『不死』なんてヘルサレムズ・ロットではさして珍しくも無い。
『組織』の捜索班も未だに来ないから、本当にここでの活動は放棄したのかもしれない。
なら別に、もう――。
「それはですね……」
紅茶を飲んだばかりなのに、喉がカラカラになる。
体温が下がって、周りの景色がゆらめいて、何がなんだか分からなくなった。