第6章 悪夢の後日談
うう……ホント眠い……。
眠気が怒りを上回り、正直キツい。
あー、もう。ケンカするんじゃなかった。
いつもの雰囲気のオフィスなら、普通にクラウスさんに声かけて休ませてもらうのに。
私は暗黒オーラを漂わせながら仕事をする。
他のメンバーは無言だった。
…………
そして、どうにかこうにか休憩時間になった。
いつもはランチに誘いに来るレオナルドさんたちは、今日はそそくさと自分たちだけで出かけていった。
ギルベルトさんは、備品の在庫確認だかで倉庫に行ってしまった。
スティーブンさんも『時間があるから外で食べるよ』とさっさと消えた。
……私とクラウスさんだけが残された。
「カイナ……」
さっそく声をかけてきた。
しかし、私は無視してスタスタと仮眠室に向かう。
失礼とは承知の上で、もう返答するのもおっくうだったのだ。
眠気がマジで限界だ。ちょっとだけでも横になりたい。
でも昼にも薬を飲まなきゃいけないし……うう、仕事終わりまで保つかなあ。
ちなみにクラウスさんは、後ろからついてくる。
申し訳ないけど、主人に激しく叱られた後の大型犬を連想してしまった。
「その、カイナ……どうか昨晩のことを謝らせてほしい。
君の怒りは最もだし、私も自らの愚考を深く恥じている。今後は決して――」
うっさい。毎回同じこと言って、またやらかしてるでしょうが。
「っ!!」
「カイナ!」
眠気でふらついたところを、クラウスさんに支えられた。
「しっかりしたまえ! 今、ギルベルトを――」
「い、いえ、いいんです……」
腕にすがって立ちながら、微笑んだ。
いい機会だし、ちょっとキツイことを言わせていただこう。
「昨日のことでよく分かりました。
クラウスさんは私のこと、性欲処理係にしか思ってなかったんですね」
「――!! ち、違う!! 決して私はそんな!!」
「いいんです。私、あなたに捨てられたら行くところがないし……好きに『使って』下さい……。
それで毒素が強くなったとしても、私の責任ですから……」
「――――!!」
相手が最大級にショックを受けているのを見て、ちょっとやり過ぎたかなあと思いつつ、目を閉じたのだった。