第6章 悪夢の後日談
そして夜になり、私たちは私の家(もはや完全にラインヘルツ家に支配されている)に帰った。
そして夕食をすませ、シャワーを浴びた。
その後、リビングの片付けを終えたギルベルトさんは、私とクラウスさんに、
「では、私は下がらせていただきます。何かありましたらお呼び下さいませ」
呼ばない呼ばない。老執事さんには夜くらい、ゆっくり休んでほしい。
「ありがとうございます。おやすみなさい、ギルベルトさん」
「ご苦労だった、ギルベルト」
クラウスさんも重々しくうなずいた。
「おやすみなさいませ、坊ちゃま、カイナ様」
完璧な所作で一礼し、退室。
そしてリビングには私とクラウスさんが残される。
「カイナ」
さっそく嬉しそうに私を抱き寄せるクラウスさん。私はデカい腕にすっぽり包まれる。
「寝る前に何をしようか。一緒に温室に行くかね? それともカードゲームでも」
返答する前に私をお膝に乗せ、イチャつくモード。
いい加減、飽きそうなもんなのに変わらないなあ。
いつもなら、断る手段がなくズルズルつきあう内、ベッド直行というのがお決まりのコースだった。
だがしかし。
「寝ます」
「――――っ!!」
何、『ガーン』と擬音つけられそうな顔をされてんですか。
「今日は検査が色々あったし、午後はデスクワークだったし、早く回復したいので」
最近はゴーレムに乗ってヘルサレムズ・ロットを飛び回るっていう、勤務態勢だったからなあ。久々にパソコン作業での頭脳労働となり、頭が痛い。
私は、とっととクラウスさんの膝から降り、
「そいじゃ、しばらく私の部屋で寝ますんで。また明日」
「ま、待ちたまえ。カイナ!」
慌てたように止められた。
「もう少しだけ……もう少しだけ、君のぬくもりを私の腕の中に」
逃がすまいとするかのように、ぎゅうっと抱きしめられるけど。
「いや大げさですって。明日の朝、また会えるでしょうが。
クラウスさんも、たまにはグッスリ寝ましょう。ね?」
自力では逃げられないので、なだめてなだめて、どうにか離れてもらった。