第6章 悪夢の後日談
「そうなると自分の力で中和ということになりますね。もちろん可能です」
あっさり答えが返ってきてホッとした。
「ただし薬で調整しても、期間は長くなってしまいます」
「全然OKっす!!」
「薬で調整しながら自分の身体の『気』を整えるため、この場合は逆に三ヶ月ほどは性交渉禁止となります」
「一切問題ございません!」
「分かりました。では本日より投薬開始となりますが、眠気が出る薬なので気をつけて下さいね」
「はい、ありがとうございます!」
『よっしゃ!』と私はこぶしを握ったのだった。
三ヶ月はセックス禁止。
これは願ったり叶ったりではないか。
やっと夜、ぐっすり眠れるっ!!
…………
…………
一時間後。
ライブラのビルに戻った私は、待っていたクラウスさんとスティーブンさんに報告に来た。
「ただいま帰りました!」
ビシッと両足をそろえて敬礼。
婚約者という間柄だからこそ、公私の区別をつけるべく、クラウスさんには敬意を持って接している。
「心配していた。カイナ。検査の結果は? 何か重大なことはあったかね?」
……クラウスさんは公私の区別そっちのけで、超オロオロしていた。
「い、いえ、投薬治療で三ヶ月経過すれば、後遺症なく完治するそうです」
「そうか……良かった」
クラウスさんは心底ホッとした顔で笑顔になる(怖い)。
一方、鬼の番頭は『うーん』という難しい顔。
「前線に復帰出来るまで三ヶ月か……痛いな」
「申し訳ありません。身体の『気』が魔力で乱されてしまうというので」
「いや、謝らないでくれ。君のせいじゃない」
とか言いつつ『長いなー』と渋いお顔。
前線に送れる駒が減ると困るんだろう。鬼番頭め。
一方、クラウスさんは、
「他の治療法の提示はないのかね? 多少高額でも――」
『中出し百回くらいされれば、すぐ解けますよ』
「 あ り ま せ ん っ ! ! 」
「え……な、何でそこまで力強い……」
私の剣幕に、副官さんがちょっと引く。
一方クラウスさんは、
「カイナ。ならば三ヶ月はデスクワークを。君が健康を取り戻し、また肩を並べ共に戦える日が一日も早く来ることを願う」
……あ。胃が痛い。