第2章 告白(上)
第1章の詳細なあらすじ。
私ことカイナ・シノミヤ。多分、日本出身で『不死』の能力持ちである。
『不死』といっても血界の眷属(ブラッドブリード)ではないので、その点は注意。
まあ挽肉状態からでも復活するが。
私はとある『組織』の実験材料兼、弾よけで、連中に連れられヘルサレムズ・ロット入りした。
けどヘルサレムズ・ロットの洗礼を受け彼らが全滅してからは、廃墟となった教会に一人で住んでた。
その後、何やかんやでクラウスさんという紳士に面倒見てもらうようになった。
――以上。
…………
ヘルサレムズ・ロットのとある一画に教会がある。
でも本当は教会じゃない。『教会があるように見える』幻術がされている。誰か入ろうとすれば終わりのない迷路に入り込み、何時間経っても入れないだろう。
他にも結界が張ってあり、そこそこ腕に自信がある者でなくては入れない。
いかなる組織のアジトがあるのだろうか。
腕に覚えのあるあなたが、結界を破壊し入ったとしよう。
……何もない。更地にテント、プラスいくつかの生活用具があるだけである。
よく見れば、穴掘って必死に隠れようとしてる小娘がいるかもしれん。
このガキが幻術と結界の使い手か?
否。ボコろうが何しようが、そいつは反撃してこない。殺しても応答なし。
あなたは小娘が数ゼーロしか持って無かったことに悪態をつき、死体を蹴飛ばし帰る。
だがまた来たとき、結界と幻術は元通りになっている。小娘も元通りに生活している。
あるいは、あなたはそのままそこに留まろうと思うかもしれない。
だがその後あなたは――謎の赤毛の大男に吹っ飛ばされる。
…………
…………
「クラウスさん、クラウスさん!」
名案を思いつき、私は文章問題のテスト用紙から顔を上げた。
「もう問題を解いたのかね、カイナ」
さっき私が解いた別の単語テストの採点をしながら、クラウスさんが優しい目で聞く。
執事のギルベルトさんはその向こうで、休憩時間のためのテーブルセッティングしているところだった。
だが私は解答用紙をグシャッと握り、笑顔で叫んだ。
「私の能力って自爆テロに使えるんじゃないですか!?」
クラウスさんの手からペンが転がり落ちた。