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【血界戦線】紳士と紅茶を

第5章 終局



 夜のライブラ事務所。
 そこはにぎやかなパーティー会場になっていた。
 私の帰還&正式赴任おめでとうパーティーということで、皆集まって、にぎやかに進行していた。

 グルーヴなロックがかけられ、酒が次々に開けられ、テーブルにはピザだのドーナツだのチキンだの各種料理が山盛りである。

 私はその一角で、のんびりくつろいでいた。
「エイブラムスさんと一緒に海外を回ってたんですか!?」
 レオナルドさん、糸目のまんま驚いてる。
 私はジュースを飲みながら、

「ええ。最初は術士が集まる学校にいたんですが、友達がなかなか出来なくて」
 ずっと気心知れた人たちといて忘れてたけど、元々私、超人見知りだった。

「だから寮の一人部屋にこもって、クマのぬいぐるみ『クラウスさんシリーズ』を作ってたんです。
 毎日それ相手に会話して過ごしてたら、なぜか学校の方からクラウスさんに連絡が行ったらしくて」

「いや。そりゃまあ、ねえ……」
 レオナルドさん、なぜか怯えた顔をされている。

「そしたら、クラウスさんの先生っていうエイブラムスさんが迎えに来て、一緒に世界を回らないかって」

 エイブラムス先生は、クラウスさんのお師匠さんのお一人らしい。クラウスさんからは大恩人だと聞いた。

「よくあんな人と旅が出来ましたね……」
 顔を青くし、ひきつり笑いをするレオナルドさん。

「先生は『血界の眷属』を相手にするお仕事柄、危険も多くて。
 私が一度、超上級神性存在と契約したってお話をご存じだったんで、声をかけてこられたそうです」

 最初は不安だったけど、気さくな性格で話しやすかった。
 私がクラウスさんの婚約者と知って、姪っ子みたいに可愛がってくれた。

「そういえばカイナさんも、神性存在と契約してたんですよね」
 レオナルドさんも『神々の義眼』契約者だっけか。
「こっちはもう完全に縁が切れてて『影響』が、かすかに残ってるだけですけどね」
「影響?」

「ええ。ほんの、ちょこっと『幸運』になってるみたいなんです」
「すごいですね。大金を拾ったりとかするんですか?」

「いえ私自身には何もなくて。周囲の人が宝くじで10ゼーロ当たったり、先着順の品物がギリギリ間に合ったり」

「しょっぼ!!」
 うむ。繰り返すが私自身は幸運ではない。

 周囲の人が、ほんのり幸せになるそうな。

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