第5章 終局
「136号ー!!」
先にクラウスさんに謝るべきであっただろうが、ついついMyゴーレムの元に駆け寄ってしまう。
おお、さすが我がゴーレム! 一撃でノされようと、まだ闘志を目に起き上がろうとしている。
「す、すまなかったカイナ。しかし、なぜ君のゴーレムのうち、このクマ型のシリーズのみが私を襲うのだろうか」
クラウスさんが頭をかきながら言った。
「いえ、こちらこそ。おケガはありませんか? クラウスさん」
ゴーレムを抱え、私はあわあわであった。
「すみません。拝見しても良いでしょうか」
ん? 声をかけてきたのは、魚のような人のような、一風変わった外観の人だ。
そうか。クラウスさんが言ってた、人と魚類のハーフのメンバーか。
彼は私に丁寧にお辞儀をし、
「ご挨拶が遅れました。ツェッド・オブライエンと申します。裸獣汁外衛賤厳殿に師事し、斗(ひきつぼし)流血法シナトベを伝授された者です」
「ご丁寧に。術士のカイナ・シノミヤです」
斗流ってザップさんの流派だったっけ。じゃあザップさんの兄弟弟子か。
奴とは似ても似つかぬほど礼儀正しいが。
私はツェッドさんと握手した。ツェッドさんは感心したように、起き上がった136号を眺めた。
「噂には聞いていましたが、驚きました。すごい……本来は人形でしかないゴーレムが、自律意思を持って動くなんて。史上初の魔術とAIの技術的融合――」
「いえAI技術自体が新しいから、たまたま私が最初にやったってだけですよ。
あ、撫でても大丈夫ですよ。クラウスさん以外は攻撃しませんから」
撫でたそうにしてたのでそう言うと、彼はちょっと嬉しそうに首毛をモフり始めた。
136号は嫌がらず、目を閉じていた。
「……だから、なぜ彼は私のみを攻撃するのだろう?」
周囲に撤退の指示を出しながら、クラウスさんが首をかしげる。
それを聞いてツェッドさんが顔を上げた。
「そういえば『136号』って言ってましたが、正式な名前とかはあるんですか? ゴーレムとしての」
そう聞かれたので、私はボソッと応えた。
「クラウスさん136号……」
「は?」
ツェッドさん、撫でるのを止め、私を凝視する。私は彼を無表情に見、
「だからソレ、クラウスさん136号なんです」
「はあ!?」