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【血界戦線】紳士と紅茶を

第5章 終局



 …………
 
 かくて、クラウスさんの正義の一撃で、無事に異界蜂は息絶えた。方々に散った子蜂も、どうにか私のゴーレムたちが片付けた。

「つ、疲れた……」

 136号の身体にしがみつき、崩れ落ちそうな身体を支えた。

 今、私はガレキだらけになった地面にいる。
 近くには巨大な十字架をブッ刺され、絶命した化け物蜂。
 ビジュアルが怖いが、もうすぐ特殊警官隊が来て、処分してくれるだろう。

 久しぶりに見る他のメンバーや、新しく見るメンバーは、疲れ切った私に気を遣ってか、まだ話しかけてこない。

 これが、ヘルサレムズ・ロット……。
 こういう脅威が日常茶飯事に出るとかマジか~。
 戦う立場になって初めて、この街のハードさが分かる。
 もう神性存在の能力付加も不死もないのに、やってけるんだろうか。

「大丈夫かね、カイナ」

 クラウスさんが私の背を支え、立たせてくれた。
 うう、久々の再会がコレとかないでしょ。
 ピンチを助けられるとか、バラ園でロマンチックに巡り会うとか、ドラマはないのかドラマは!

 ……まあクラウスさんとは昨晩もネット電話で話したばっかだから、久しぶり感が薄いんですけどね。

「やっと会うことが出来た。この日を待ち焦がれていたよ」
「私もです……」
 でも喜んでもらえて、とても嬉しい。
 こうして、本物のクラウスさんが目の前にいる。
 あの優しい目で私を見てくれる。
 それだけで何より幸せだ。

「親蜂の巣を攻撃してくれたおかげで、被害の拡大を食い止めることが出来た。ありがとう」
 クラウスさんは私に微笑み、次にレオナルドさんを見る。
「レオナルド君も、彼女のサポートをしてくれて感謝する」

 うむ。ゴーレム四体同時操作は、まだ荷が重かった。レオナルドさんが『神々の義眼』で方角指示してくれなかったら、今頃私は文字通りの蜂の巣だった。ぶるぶる。

「あ、いえ。カイナさんが俺を空中で拾ってくれたおかげです」
 頭をかくレオナルドさん。

 すると、今度は別の方向から声がした。

「見違えたな、カイナ。四体のゴーレムを同時制御するなんて見事な成長ぶりだよ。
 それにしばらく会わないうちに、ずいぶんきれいになった」

親戚のおっさんみたいな感想をくれたのは、スティーブンさんであった。

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