第5章 終局
※R15
古いシャワーヘッドからお湯が流れている。
クラウスさんが掃除して下さったおかげで、浴室はどうにか入れる程度の清潔さを保持していた。
「すみません……ご迷惑を……」
「何がだね? もう少し頭を下げてくれたまえ」
クラウスさんの膝の上で、くたっとして濡れた身体を預けた。
うう。頭を洗っていただいて気持ちいいが、少々情けない。
クラウスさんは、嬉しそうに私の世話を焼いて下さってるが。
…………。
あの後、さっそくコトに及ぼうとしたケダモノに『まずは風呂ーっ!!』と無理やりに押しとどめた。いやだって、ライブラ出てきてから身体洗ってないし!!
だがしかし。そもそも私は、歩行も危ういほど体力が落ちているのだ。
さっきクラウスさんを落ち着かせるため、多少暴れたけど、そんなことですらガクンと消耗するほどに。
……風呂から出るまで体力がもたなかった。
だるいー。つかれたー。エッチせずこのまま寝たいー。
……というのが本音なのだが、言いそびれている。
いや態度に出しているつもりだけど――恐らく故意にスルーされている……!!
「カイナ。心配しないでくれたまえ。私がやろう」
クラウスさんが嬉々として身体を洗ってくれるが、やましい物を感じるのは気のせいか。
いやいや。信じてる。
私を想ってくれるクラウスさんの自制心を信じているから!
……クラウスさんは紳士なのだが、生命力が獣並みな分、性欲もケダモノレベル。
つきあった当初など寝ぼけながら、無理やり行為に及ぼうとしてきた。
その後も、こっちが寝てようがマグロだろうが、一切気にせずヤラれたり、余罪は尽きない。
だけど、今は大丈夫だろう。う、うんっ!!
…………
「ん……っ……ん……」
信じてはならなかった。
クラウスさんは困ったように私の身体を洗い――つか、洗うていを装い、胸を愛撫してくる。
「ん……んぅ……」
真っ赤になり、逃げるように前屈みになると、片手をつかまれ――そーっとクラウスさんのブツを握らされる。
「出るまで待てないんですか……」
無理やりにつかまされるから、仕方なく半分硬くなったそれを手でしごいた。
相変わらず胸を弄られたまま、恨みをこめた目で敵を睨んだのであった。