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【血界戦線】紳士と紅茶を

第5章 終局



「つまり、私との婚約を受け入れてくれると!?」

 たたみかけてきた! 怖ぇ!! 目が光ってる!! 告白のときの比ではない!
 絶対、断ったら殺す気だっ!!

 いいいいやダメだ。何をトチ狂ったのか知らんが、クラウスさんを人生の墓場に引きずり込むわけにいかん!!
「カイナ!」
 
「はいっ!! お、応じさせていただきますです!!」

 ……婚約なら後で破棄出来る。
 最悪、ギルベルトさんから本家に連絡していただき、ご家族の方から何とか説得していただこう。

 何で私がそこまで頑なに拒否るかって?
 もちろんクラウスさんのことは大好きだ。尊敬してる。
 私がこの先を生き延びて、もし部下にと求められたら喜んで一生仕える覚悟だ。

 ……でも対等の関係は荷が重い。

 私は、多少チート気質があるらしい。でも達人超人だらけのヘルサレムズ・ロットでは吹けば飛ぶレベルだ。
 お相手として釣り合いが取れるわけがなかろう。それに私は……『汚い』。
 とりあえず今は一旦、クラウスさんを冷静にさして、頭を冷やす時間を――。

「…………! ありがとう、カイナっ!!」
「ぐはっ!!」
 体重かけるな!! 比喩表現でなくマジでつぶれるから!! ベッドと一体化してしまう!!
 キスしてこないで!! ホント、身体が動かせない!!
 ベッドの上で酸欠の恐怖に襲われる。
「……クラ、ウスさ……いま、それ、どころじゃ……」
 とっとと『召還門』の術式を解除しないと。
 何だかんだ言われたけど、そう時間は残ってないはずだ。

 ん?

 えーと……。今、私は足の感覚がちょっと鈍くなってるんだけど、何か当たってるような。
 硬いモノが。そう、ちょうど場所はクラウスさんの――。

「クラウスさん、今、昼間」
 冷酷な声を出し、クラウスさんの下から這い出そうとする。
「…………」
 クマ男は私の身体をがっしり抱きしめ、動かない。
 そしてすりっと腰を動かし……いや、だから! 当たってるから!!
「……カイナ。同意をもらえるだろうか」
 クラウスさんは気まずそう。

「お断りです。そういう状況じゃないでしょう」

「警戒は怠らない。何かあっても君を守るため全力で対処する」
「そういう問題じゃないしっ!! この、離せ……!」

 赤毛をポカポカ叩くが、もちろん効いてなかった。

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