第4章 異変
どこからどう見ても平凡。そこらにいる可憐な美少女カイナさん。
実はプチ魔術体質で、過去の飢餓体験から、植物を食える身体になってたりする。
好物はクラウスさんの観葉植物……ゴホン! バラの花っす。
っけど! 盆栽で酔うとか私自身が今知ったっ!!
とまれ盆栽展の会場を後にしながら、私はクラウスさんの肩に抱きつき、へばっていた。
そんな真っ赤な顔の私を見、心配そうに背をさすりながらクラウスさんは、
「なるほど。確かに酩酊状態にあるようだ。
とても愛らし……コホン、私はカイナのことを何も知らないのだな」
いや、ンなこと知ってたら逆に怖いっすよ!!
後ろに付き従いながらギルベルトさんは、
「想定外でございましたな。きっとカイナさんにとって盆栽の名品の集まる会場は、名ワイン蔵のようなものだったのでしょう」
そんな高尚なもんじゃないと思うけど……。
しかし! だからって! 匂いで即酔いするか。弱すぎだろう、私!!
「どこかで休ませよう。ギルベルト、ホテルの手配は――」
「すでに済ませております、お坊ちゃま」
いや、いいから! いいですから!
私のことはそこらへんに転がして、楽しんで――。
それきり意識が途切れた。
…………
…………
そして、私は高級ホテルの一室で、速やかに寝かされた。
「カイナ」
ベッドで寝た私に、クラウスさんは甲斐甲斐しく世話を焼く。
お外は午後の時刻だ。
時間がかかりそうなので、ギルベルトさんは一旦帰られ、今ここにはクラウスさんだけ。
しかし、クラウスさんが楽しみにしていた盆栽展を台無しにしてしまい、本当に申し訳ない。
「すみません……クラウスさん。その、展示会……」
「何故だね? 君の体調を優先するのは当然のことではないか」
私に羽毛布団をかけながら、クラウスさんはきょとんとしたお顔。心の底からの本音らしい。
俗物な自分が恥ずかしくなり、枕に顔をうずめる。
するとサワサワと、髪を撫でるデカい手。
早く起きたいんだけど、今はちょっと二日酔いみたいな状態になってる。
動くと気持ち悪いのだ。ああ自己嫌悪……。
「カイナ。何か欲しいものや、してほしいことは?」
私の顔をのぞきこみながら、クラウスさんが優しく言った。