第4章 異変
ヤバい。コタツを占拠されるという人類史上、類を見ない凶悪犯罪をされたものだから、つい仕返ししてからかってやろうと思っただけなんだ。
私が悔しがるのを余裕ぶっこいて見ている顔を、崩してやりたかっただけだったのに。
「あ……あ……っ……やだ……嫌……」
「何が?」
「……ぁ……っ……んー……」
情けない声がリビングに響く。
ちなみにパジャマのズボンは剥ぎ取られた。
今、私は上半身は裸。下半身は下着が残るのみ。そんな微妙な格好でクラウスさんのお膝の上にいる。
ちなみにクラウスさんはというと、ネクタイ取って、ベストを脱いだだけというシャツ姿。下半身も変化なし。
何この、脱衣率の不公平感!
「クラウスさん、寒いっす」
コタツから出された怨念もあり、抗議すると、
「そうか、それはすまなかった」
「ぐわ!」
甘い秘め事の最中に、出す声じゃない声が出た。
だってギュウッと抱きしめられたから!
「なら存分に温めさせていただこう」
クラウスさん、体温高いもんね。抱きしめられるだけで確かに温かいけど! でも!
「そういう意味じゃ……や、やだ……」
いやいやと首を振るが、身体ごと抱き上げられた。
いつもながらデカい。そして相変わらず、座った状態で私を抱え上げ、疲れた様子ゼロ。こちらに体重がないかのごとくの扱いをされる。
そしたら耳元に手が当てられ、ささやくような低音が聞こえた。
「カイナ。目を開けてくれたまえ」
怖い。牙、当たってる。あなたの立派な牙が耳に当たって怖い!
ガブッと噛まれそうで怖い。というか実際、噛みたそうに甘噛みしてる!
「……カイナ」
声は穏やかなんだけどなあ。目を開けたら何が見えるか怖くて、つい首を横に振る。
「そうか……なら構わない」
何するの? キス? あ、いや、現在進行形でされています。言葉の合間合間に、舌を絡めたキスをされる。
胸をねっとりと舐められる。背中を撫でられる。
と、身体をむずむずさせていたら、
「……! ちょっ……、何を……!?」
両足を抱えられた。バランスを崩しかけ、とっさにクラウスさんに抱きつき体勢を支える。
けどクラウスさんは気にせず、私の身体を少し動かし……。
「――!?」
私の下半身の、その……大事なとこに、クラウスさんのご自身が当たってる。