第4章 異変
「カイナ……悪ふざけが過ぎた。君の気持ちを傷つけてしまったのなら、どうか心からの謝罪をさせてほしい。
二度とこのような恥ずべき過ちに及ばないと君に誓――」
相変わらず大げさである。大人げ無いとはいえ、こんなイタズラも恥ずべき過ちに分類される世界ってどんなだ。
けど変だな。クラウスさん、ちょっと焦ってるような。
不思議に思いつつ、クラウスさんのあったかいズボンを抱きしめ、顔を上げた。
――あ。
そのとき『ある現象』が目に入った。
「お元気、そうですね……」
「…………すまない」
クラウスさん、決まり悪そうであった。
どういうことか。
男性の大事な部位が盛り上がっていた。私にも分かるほどにハッキリと。
いったい何故。クラウスさんはよく分からん。
「その、早く出てくれたまえ。もう平均的な就寝時刻を過ぎている」
「…………」
私は手を伸ばして『それ』ちょっと触る。
「……っ! カイナ、止めたまえ」
「い、いえ、ごめんなさい。その……」
自分でもよく分からず、顔を赤くして、もう少し触る。
私の手の下で、少し反応している。
そのことにドキドキする。
「本当に、止めてほしい……弱っている君に、体力の負担を強いることは、したくない……」
最近、病弱キャラにされてるような。
死んでも生き返るのになー。
そういえば、ここのとこ一日一回、きっちり死んでるんだっけ。
クラウスさんは把握してるみたいだけど何も言わない。
私から言い出すのを、待ってるみたいではあるんだけど。
勇気を出して、ちゃんと相談した方がいいんだろうか。
…………。
迷惑かけたくない。
今日だって、平和だったとはいえ緊急召集も何件かあった。
ライブラのリーダーは多忙なのだ。
迷惑をかけるより、してほしいだろうコトをしてあげたい。
……というのは詭弁であり、本音は仕返ししたい!
「!? カイナ、何を……」
手を伸ばし、カチャカチャとクラウスさんのベルトを外す。
「それはダメだ。良い子だから……っ」
言葉を続けようとしたのが止まる。
私がズボンのボタンを外し、ずらすや否や、下着ごと口にくわえたもので。
「カイナ……悪さは……」
聞いちゃいない。
紳士が焦りまくってるのを見て、ざまぁと思った。