第4章 異変
どうする。どうする、私。
クラウスさんは目をキラキラさせ、完全に『遊ぶ』お顔である。
そういえば普段は私がツーンとして、クラウスさんがご機嫌を取ろうとしてる構図が多いもんね。
くそ。そこまで私が気を引こうとする展開が楽しいか!
思い通りになってたまるか。
だが寝室に行きたくとも、このままではコタツの占有権を奪われる可能性がある。
なので私はバッとクラウスさんから離れ、90度移動して、別の場所からコタツに足を突っ込もうとした。
「…………!?」
鍛え抜かれた足により、私の平和的侵攻が阻まれる。
邪魔! てい、てい、と足を蹴っていると、
「カイナ」
「は、はい!」
悪事をしている自覚があったので、ついビクッとする。
「痛いから止めてくれたまえ」
「ご、ごめんなさい……」
「うむ」
…………。
いや待て。今、明らかにコタツを占拠してるのクラウスさんじゃん。正論攻めはズルい!
コタツには日本古来より、平和的共存のための暗黙のルールがあるのに!
……だがすでに謝ってしまった。アメリカンな風土の場所では、謝った方が負けなのである。
私は立ちすくむ。
こちらが今にも凍死しそうだと言うのに、クラウスさんは春風のような空気をまといつつ、ぬくぬくしている。
あと、楽しそうにチラチラ私を見てる!!
仕方が無い。もはや時間はないのである。
つまり、マジ眠い。
ここ最近、夢見が悪いか、眠らせてもらえないかのどっちかだし。
コタツを取り戻し……じゃない。クラウスさんと手をつないで仲良く眠る!
私はコタツ布団を持ち上げ、中に入る。
むろんクラウスさんの足に邪魔されるが、こちらは無理やり足の上に這い上がる。
うう、背中にもろに電熱器があたる。ぬっくいではなく、熱い。
クラウスさんもちょっと危ないと思ったのか、足を広げてくれた。
うわ、クラウスさんの足の間に落っこちる。
「カイナ」
コタツ布団が持ち上がり、クラウスさんが心配そうにしてる。
だが私は足の間に居座り、絶対に動かない。
あー、身体が足にホールドされ気持ちいい。
「出てくれたまえ、何度も言ったとおり、そこは身体に悪い。そろそろ寝よう」
困ってる、困ってる。
私は逆転出来たことに喜び、クラウスさんの足に自分の身体をすり寄せた。