第4章 異変
仕方なく、クラウスさんの脇の下に頭をつっこむ。
よいしょよいしょと、脇の下から潜り込んでクラウスさんのお膝の上に上がった。
あー、やっとコタツに入れた。
下半身があったか~。
「……!?」
脇の下にグイッと手を入れられたかと思うと、ぐわっとコタツの外に出された。
「クラウスさんっ!?」
残虐非道な仕打ちに、世界がひっくり返ったかのようなショックを受ける。
「先ほどの位置では、より近い位置から電熱器の照射を受けることになり、低温火傷の危険が高まる。安全のため、理解してくれたまえ」
「私が凍死する可能性を考慮していただけないのですか!?」
「安心したまえ。このリビングの室温で凍死することはない」
だから毎回、冗談を真っ正面から受け取るの止めて!
負けるか! 私はもう一度タックルし、クラウスさんの脇の下に頭を突っ込もうとする。
ぐぬっ! 腕でガードされ、入れないっ!!
仕方なく、はんてんの中に身体を潜らせ、クラウスさんの体温でぬくもろうとした。
……足の方まではさすがに入らず、ちと寒い。
仕方なく首筋まで上がろうと、クラウスさんクライミングをしようとしたら……上がれない!!
服をつかむ? でも、お高い生地がいたむし、クラウスさんの首がしまりかねん。
いつもは楽々と上れるのに! 今日は背中を丸めてくれないから!!
渋々、はんてんの外に出たら、外の世界が寒い。
凍傷になったらどうしてくれる!
手が冷たいなあ。
「…………」
今度は脇から強行突破はせず、横からクラウスさんをのぞきこむ。
よし、妨害はないな。相変わらず素知らぬふりをしているが。
そーっと、コタツ布団の上にあるクラウスさんの手に、私の手を重ねる。
ぬっくい。
次に、そーっと、そーっと、手を移動させ、クラウスさんのデカい手の下に、自分の手を突っ込む。
もっとぬっくい。
「――っ!!」
クラウスさんが手をパッと上げ、コタツの中に退避させる。
私は両手を突き出したアホな姿勢のまま、ガクゼンと目を見開き、クラウスさんを見上げた。
そしたらクラウスさんの顔は。
……わ、笑ってる……(怖い)!!
――はっ!
も、もしかしてクラウスさん。ホントにそんなに怒ってなくて、いつもと逆に『かまわれる立場』になったのを楽しんでる!?