第4章 異変
※R12
最初の一回でダウンして、その後は半分寝ていて。
でも時々覚醒すると、クラウスさんが『中』にいたり激しいキスをしていたりしたっけ。
結局ちゃんと眠れたのは夜明けの光が見えだしてからだったような……。
私が考え込むとクラウスさんは、ますますあたふたし、
「その、とても素晴らしい一夜だった。
私のためにどうにか起きていようと努力する君は、とても愛らしく――」
……つまりほとんど寝てる相手に一晩ヤリまくったわけですか。
身体に残る異様な疲れと眠気の正体はそれか!!
ちなみにクラウスさんは、適正睡眠を取ったかのようにスッキリしたお顔である。
私の気温が、氷点下に転じるのを感じてか、クラウスさんは冷や汗を流している。
私はチラッとベッドサイドのゴミ箱を見る。中身はすでに消去され、証拠隠滅されている。
だが甘いな。
私はそっとベッドサイドテーブルの引き出しを引く。
「あ……!」
クラウスさんがすっごいキョドる。
引き出しの中には、昨日使用したゴムの箱が入っている。
私はそっと取り上げ、すっとフタを開け、使用量を確認。
……マジでか。
使用量はあえて非公開で。
とりあえず、限りなく軽くなった箱を戻し、そっと引き出しを閉めた。
「カイナ……その……」
「ケダモノ」
「!!……す、すまない、その、怒っているのだろうか?」
クラウスさん。すっごいビクビクしてる。
私はため息をつき、
「怒ってませんよ」
別に無理やりってわけでもないし、そこまで嫌なわけでもないし……あと、気持ち良かった記憶もあるから。
「少し疲れただけです。クラウスさんもウェイターさんみたいに控えてないで、一緒に食べましょう?」
「!」
クラウスさんの顔が明るくなり、『では』と椅子を引いてベッドサイドに腰かける。
何か、余計に看病みたくなってるような。
お育ちのいい方だから、普段着でベッドに入るのに抵抗があるのかもしれんが。
あと、ベーコンエッグを丁寧に切り分けてくれなくていいですって。そんな嬉しそうに。
「カイナ」
いつもどっかズレちゃうなあ、私たち。
そう思いつつ口を開け、ベーコンエッグを一切れ、口に入れていただいたのだった。