第4章 異変
「クラウスさん、重い! 腕重いです! ど・け・て!」
まだ寝てる恋人に必死に訴えた。
「……ん……」
「お?」
え? 嘘。ホントに腕が軽くなった。クラウスさん、起きてくれた?
と思ったら――。
「わ!!」
ガバァッと、さっきは多少距離があったのが、思いっきり胸元に抱き寄せられた。
「う、動けない……!」
さっきよりも身動きが取れなくなった。私は抱き枕か!
相変わらず寝息が聞こえるし! くそ! 胸もんでやる!!
そして、はぁはぁと性的興奮で……違う違う! 疲労で息をあえがせながら、クラウスさんの胸筋を堪能した。
……だが虚しい。ツッコミも何もないんだもん。
「クラウスさん~」
ホントに起きて下さいよ、と見上げるが、
「ん……」
寝ぼけてるのか、私の頭を抱きしめ、ポンポンと髪を叩く。
今日も子供扱いだなあ。
……てか、結局昨晩も何もなかったし。
私はクラウスさんの寝顔をじっと眺める。
いつもはきれいに剃ってるお顔も、今はちょっとお髭が生えてる。
そーっと触れて、ジョリジョリ感にちょっと笑う。
それに、よくよく時計を見ると、まだまだ早朝と言える時間だ。
ご多忙な身だし、もう少し寝かせてあげたい。
私は寝顔をじーっと眺めた。
……幸せだなあ。
だがしかし。
クラウスさんって、やっぱ『あれ』なんだろうか。
いかに私がガキだろうと、女は女。しかも恋人だ。
なのに一緒に風呂に入って、全裸の恋人を間近に無反応。
ということは、クラウスさんは『あれ』なのだとしか思えない。
……ま、まあそれでもいいか。
これが男女逆なら一悶着なんだろうが、こっちは女だし、クラウスさんが『あれ』だろうと何の問題もない。
こうして毎日一緒に楽しく過ごして、時々キスをして。それだけで十分幸せだ。
微笑み、唇にキス――出来るほど身体が動かせないので、シャツの胸元に、そっとキスをした。
そして二度寝しようとして。
「……ん?」
私の下半身に違和感がある。
硬いモノをグリグリと押し当てられてるような。
クラウスさんにギュッとされて、上手く動けないから、目で確認は出来ないけど。
何だろう? この部分って確かクラウスさんの身体の――。
私の時間が止まる。
クラウスさん……ご子息、お元気そうですね。