第4章 異変
私はクラウスさんと恋人になった。
詳細は混乱していてよく覚えていない。何でなのか、当の私が聞きたいくらい。
気がついたら家の一部を破壊され、押し倒され、よく分からんうちにキスをされた。
そしてパーティーでの阿鼻叫喚を経て、クラウスさんとちょっと話をした。
何で私なんかをと聞いたら、クラウスさんは照れながらも教えてくれた。
初めて会ったとき。私は全てを失い、どうすればいいか分からずガレキにもたれ、ぼんやりと空を見上げていた。
その私をクラウスさんが見つけてくれたのだ。
最初は確かに『放っておけなかった』から、時々様子を見に来てくれたらしい。
でも私がだんだん元気になって、時々笑うようになって、そうしたら話すのが楽しくなって。
気がつけば毎日でも会いたくなって。会えないときは誰かに傷つけられていないか、心配で心配で。
だから無理にでも口実を作って会いに行って。
でも『そういう感情』を自覚したのはごく最近らしい。
最近というか、つい先日だそうな。
それら全てを話し終え、クラウスさんは片膝をつき、私の手を取り言った。
「君に施しを与えようとか助けてやろうといった思い上がりは、断じてない。
友人として、力になりたいと思ったまでのこと。
だが私のその行為が、ずっと君を傷つけていたのなら、どうか我が侮辱を許してほしい」
私の手に口づけをし、顔を上げる。
誰もいない、私たちの家で。
「その上で改めて告白をしたい。カイナ・シノミヤ。
あなたが好きだ。ずっと、私のそばにいてほしい」
泣いてうなずく以外、何が出来ただろう。
…………
…………
「――はっ!!」
大変に良い夢を見ていた気がする! 風呂で寝落ちして、ベッドに運んでいただいたようだ!
だが朝だ。非情な現実だ! 起きねば!
わたくし、ガバッと起きようとし、『?』と、身体が動かないことに気づく。
「ん?」
耳元で寝息が聞こえた。
「…………」
途端に顔が赤くなる。
クラウスさんだ。動けないわけだ。
彼は片腕を私の枕に、もう片腕を私の身体に回し、抱きしめるように寝ていた。
私はうっとりとその感覚に身をゆだね――られるかっ!!
重い重い。腕重いって!!