第4章 異変
いや。待って待って待って!?
確かに恋人同士だけどいやでもそんな大胆な心の準備がいや初めてだから優しくいや初めてじゃないんだ詳細は突っ込まないでそれはさておき心の準備がががががっ!!
静かにバグる私を両腕に抱えたまま、クラウスさんはバスルームに向かう。
どうしよう。嫌じゃないけど、そんな、いきなり……。
顔を真っ赤にしていると、クラウスさんが私を見下ろす。
近い近い。抱き上げられているせいで、もっと近い。
「大丈夫だ。安心したまえ」
……は、はい。全部お任せします。どぞお好きなように!!
も、もう腹を決めた。告白の成り行きがぐだぐだすぎて実感がなかった。
だがしかし、自覚する。やっぱ嬉しい!
脳内サンバカーニバル状態の私をよそに、クラウスさんはバスルームに入りそっと私を下ろした。
そして心配そうに、
「まだ眠気が強いようだが、自分で脱げるかね? それとも手伝おうか?」
いえ眠いんじゃなく、フリーズしてただけです。
――て、脱がしてくれるの!?
「いえ、自分で、脱ぎます」
「そうか」
うわあああ! 私のバカバカバカ! せっかくのチャンスをっ!!
脳内で絶叫しているが、私は見た目、ぎこちない手つきでボタンを静かに外してる。
しかし身体はクラウスさんの動く音に、全神経を集中させている。
眼鏡を置いた。ネクタイ外した。ベスト脱いだ。シャツを脱いだ!
一方私は自分のことには全く集中出来ず、クラウスさんより時間をかけ、衣服を全部脱いだ。
「あ、あの、ぬ、脱ぎました……」
いや、わざわざ宣言するっておかしくね?と思ったけど。
「これを。寒いだろう」
スッとこちらにバスタオルが渡された。クラウスさんはこちらを見ないようにしてる。
「ありがとうございます」
慌ててタオルを巻き、身体の線が隠れてホッとした。
しかし今度はクラウスさんが気になる。
私は無意識に、視線を彼の下半身に――。
「……っ!?」
腰 に タ オ ル 巻 い て る ! !
い、いや、鍛え上げられた上半身だけでも、一見の価値はあるが!!
「足下に気をつけたまえ」
「は、はい」
緊張でふらふらしつつ、クラウスさんの肉体をガン見……じゃない! クラウスさんに手を引っ張られ、バスルームに入った!!