第3章 告白(下)
「カイナ、これを」
クラウスさんが、私に向かって、でっかいバラの花束を差し出してた。
「え?」
『ちょっと持っててくれ』的な意味かな?
まあこれだけデカいバラの花束を持つ機会なぞ、一生あるまい。
「ども」
礼を言って受け取った。
けど受け取った瞬間、ずしっと腕に来る。
重い!! バラっつってもこれだけあると超重い! てか私がバラに埋まる!!
だけどどうにか踏ん張り、クラウスさんを見た。
服もそうだけど、その他の様子もいつもと違う気がする。
ひどく緊張した様子。
正装だし、本当に王族の晩餐(ばんさん)か何かに行かれるんだろうか。
でもそれより、聞きたいことがある。
「このバラ。何本あるんですか?」
「99本」
"I will love you for as long as I live."
――だっけか。
まあバラの花言葉ってどれも『永遠に愛してる』みたいな意味だけども。
「すごいですね! 99本とか! あ、クラウスさん、写真お願いします、写真っ!!」
「あ、ああ」
スマホを渡し、バラを抱えた私の写真を、何枚か撮っていただく。
ヤバい。イン○タ映えヤバい!! やってないけども!!
で、とりあえず気が済むまで撮って頂いた。
「どうもありがとうございました」
「いや、とても可愛らしかった」
顔を赤くし、何かボソボソ言ってるクラウスさん。
「あ、これ、ありがとうございました」
とクラウスさんにバラを返そうとしたら。
「受け取ってくれたまえ。それは君のものだ」
真剣な目で言われた。なので首をかしげ、
「え? でもこんなにいただいても、食べきれないですよ?」
「…………。食用ではない種類なのだが、君が望むのなら」
ボソッと言われた。よく分からないけど嬉しい!
こんなにたくさん、どうやって食べようかな!!
「ありがとうございます!」
笑顔で受け取り、ハッとする。
「で、今日はどうされたんですか? どこかの首脳とご会談でも?」
とりあえず玄関口まで戻り、重い花束を置かせてもらう。
そして振り向くと、
「……カイナ」
「!?」
クラウスさんが、尋常ではない『気』を放ち、こちらを見下ろしている。
「君に大事な話がある」