第3章 告白(下)
■Sideカイナ
窓を開ける。
朝が来た! あーたーらしーいーあーさーが!!
私は顔を洗い、昨晩ギルベルトさんに差し入れいただいたベーグルを温めて、そこらへんの観葉植物の葉っぱを挟んでバクつく。
そのついでに私はスマホを開き、大量のメッセージを確認――。
「あ、あれ?」
新着メッセージゼロ。
このスマホをいただいて以来、クラウスさんからメッセージが来ないなんて初めてのことだ。
「あ、当たり前じゃない。止めてって言ったんだから!」
寂しく思うなんて、図々しい!
それよりも、これからのことだ。
「今日、出発しよう」
ドキドキする。
スティーブンさんと連絡が取れなかったので、結局今日の昼、自分の足で新しいアパートを探しに行くことにしたのだ。
ヘルサレムズ・ロットは色々いい加減な分、手続きも異様に早く進む。
今日のうちに新しいアパートに移ることは十分可能だろう。
ただこの街で、だまされないよう死なないようアパートを探すのは、ハードルが高い気がするが。
大丈夫大丈夫。
頑張れ私! やれば出来る!!
■Sideライブラ
ついにやってきた。異国の吉日とやらが。
「クラウス。今日は通常業務の日なんだが」
朝のライブラで、一応スティーブンは言ってみた。
「うむ。本日の業務は全て完了している」
キリッとした表情のクラウス。
うん。確かに終えている。書類はデスクの上にビシッとそろっていた。
そしてもう、彼の頭には仕事ではない別のことが詰め込まれている。
ダメだこれは、とスティーブンはため息をついた。
「クラウスはもういい。自分の仕事はしたんだ。だがおまえらは何なんだ?」
スティーブンは冷たい声で聞く。
そう。今日のライブラ事務所には――。
「何よ、スカーフェイス。アタシが報告に来ちゃいけないの!?」とK・K。
顔を出しているのは彼女だけではない。
「俺らだって、たまには顔を出すさ」と、パトリック(と助手のニーカ)。
「偵察カメラの設置……ゴホン!!設備点検に来ました~」とユリアン。
「俺はザップに用事が……ああ、もちろんちゃんとした仕事ですよ!」とわざとらしいブリゲイド――等々。他にも多数。
普段はこちらに顔を出さないメンバーまで、理由をつけて入り込んでいた。